喘息合併妊娠におけるICS使用、児の肺機能低下を抑制

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喘息でありながらICSを使用しなかった母親から生まれた児は、健康な母親からの児と比べて肺機能が低いことが確認されました。ICSを使用した喘息の母親から生まれた場合、肺機能は健康な母親からの児と差がなく、ICSを吸入し続けることの重要性がしめされました。

■喘息を有する母親から出生した乳児では、生後早期の肺機能低下がみられることが知られているが、その理由は未解明である。妊娠中のICS使用と子の肺機能との関連はこれまで検討されていない。

■妊娠中のICS使用と乳児肺機能との関連を検討した。妊娠中のICS使用と関連する乳児の生後4〜6週における肺機能(潮呼吸フローボリュームループおよび機能的残気量〔FRC〕)について、多変量回帰分析を行った。

■喘息を有する母親から出生した乳児において、妊娠中に母親がICSを使用した群は、使用しなかった群に比べ、FRCで補正した最大呼気流到達時間/呼気時間比(tPTEF:tE)が改善していた(ICS使用 n=161 vs 非使用 n=25;係数 0.06 /mL、95%信頼区間 0.01〜0.11、p=0.014)。非喘息母体からの対照群と比較すると、妊娠中にICSを用いなかった喘息母体児では当該指標が低かったが(非喘息 n=46 vs 喘息・ICS非使用 n=25;係数 −0.08 /mL、95%信頼区間 −0.01〜−0.02、p=0.012)、妊娠中にICSを用いた喘息母体児においては対照との差はなかった(非喘息 n=46 vs 喘息・ICS使用 n=161;係数 −0.02 /mL、95%信頼区間 −0.06〜0.03、p=0.453)。

■妊娠中のICS使用は、母体喘息に伴う乳児早期の肺機能不利を軽減し得ることが示唆された。通常用量でのICSは胎児に有害であることを裏づける一貫した証拠は乏しく、むしろ母体の増悪抑制を通じて児の呼吸機能に中立〜有益に働く可能性がある。臨床的には、妊娠を理由にICSを中止せず、最小有効用量で継続し、個々の症例で必要に応じて用量調整を行うことが妥当である。






by otowelt | 2025-11-20 00:05 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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