INSIGNIA-PAH延長試験:肺動脈性肺高血圧症に対するフレスパシグアト
2025年 12月 01日
吸入可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤、フレスパシグアトの論文です。
■肺動脈性肺高血圧症(PAH)は進行性の致死的疾患であり、長期的な管理が不可欠だが、既存の血管拡張薬は全身性の副作用(低血圧など)が治療の妨げとなる課題を抱えている。フレスパシグアト(MK-5475)は、肺血管内でのNOシグナル伝達を選択的に増強し、全身への曝露を最小限に抑えるよう設計された吸入可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬である。12週間の第2相試験において、同薬は肺血管抵抗を有意に低下させ、全身性副作用の発現もなく良好な忍容性を示した。
■この研究は基本試験を完了し、酸素飽和度および収縮期血圧の基準を満たした参加者を対象とした二重盲検延長試験である。基本試験でフレスパシグアト群(32 µg、100 µg、380 µg)に割り当てられた参加者は同用量を継続し、プラセボ群であった参加者は前記3つの用量のいずれかに1:1:1の割合で再ランダム化され、1日1回のドライパウダー吸入をおこなった。PDE5阻害薬などの背景治療は変更されずに継続された。
■主要評価項目は長期の安全性と忍容性であり、探索的評価項目として6分間歩行距離(6MWD)、NT-proBNP、WHO機能分類(WHO-FC)の変化も評価された。本試験はスポンサーの事業上の決定により早期に終了された。
■延長試験には計135名の参加者が登録され、平均年齢は49.0歳、女性が71.9%を占め、94.8%がPDE5阻害薬を併用していた。試験の早期終了に伴い、参加者の99.3%が試験を中止したが、その約9割はスポンサーの決定によるものだった。フレスパシグアトの曝露期間の中央値は385.0日で、総曝露量は約138.3人年だった。
■安全性解析において、全参加者の81.5%に1つ以上の有害事象が認められたが、COVID-19(17.0%)、頭痛(12.6%)、咳嗽(12.6%)であり、重症度は軽度から中等度だった。咳嗽による治療中止例はなく、忍容性への影響は限定的だった。重篤な有害事象は21.5%に発生しましたが、治療薬に関連すると判断されたものはなく、試験期間中の死亡例(3例)も治療とは無関係とされた。
■延長試験の12週目(通算24週目)において、6MWDの平均変化量は各用量群で+4.0 mから+13.5 mとわずかな増加にとどまりまった。NT-proBNPレベルおよびWHO機能分類についても、用量依存的な傾向や臨床的に意義のある変化は認められず、多くの症例で病態の安定が維持された。
■フレスパシグアトは、PDE5阻害薬を含む多剤併用療法を受けているPAH患者において、約1年間の長期投与でも良好な忍容性を示した。延長期間中の安全性プロファイルは基本試験の結果と一貫しており、長期投与による新たな懸念や、用量に関連した全身性の副作用の増加はなかった。
by otowelt
| 2025-12-01 00:02
| 呼吸器その他










