LAMA-by-Night試験:COPDに対するLAMAは夕方に吸うべきか?
2025年 12月 11日
吸入薬界隈では有名な研究です。個人的には歯磨き前のルーチンに吸入薬を入れるよう指示しています。(吸入後うがいもできるので一石二鳥)
■COPDの症状には顕著な日内変動が存在し、多くの急性増悪は夜間の後半から早朝にかけて発生することが知られている。このパターンは、夜間に副交感神経系の活動が亢進するという自律神経系の概日リズムに起因している可能性が高い。チオトロピウムなどの一般的なLAMAに関する研究では、投与後10〜15時間しか効果が持続しない可能性が示唆されており、朝投与では夜間の症状コントロールが不十分になる懸念があった。そこで本研究は、LAMAの投与時間を夕方に変更することで、症状が悪化しやすい夜間の気管支拡張効果を高め、入院を要する急性増悪や死亡のリスクを低減できるかどうかを検証することを目的とした。
■デンマークで実施された第IV相レジストリベース非盲検のランダム化比較優越性試験である。特筆すべき点として、本試験は完全なデジタルプラットフォーム上で実施され、対面での訪問や追跡調査は行われず、データは患者報告またはデンマーク国内レジストリから取得された。参加者の募集にはデンマークの公式電子メールシステムが使用され、172,852名のCOPD患者が招待された。参加資格は、30歳以上で、2022年9月までにLAMAの処方を受けていたデンマーク在住の個人。
■最終的に10,011名の患者が同意し、コンピュータによって1:1の割合で「夕LAMA投与群」または「朝LAMA投与群」にランダムに割り付けられた。具体的には、4,983名が夕投与群、5,028名が朝投与群に割り当てられた。参加者は、試験開始時に、それまでの習慣にかかわらず、割り当てられた時間(朝は午前6時から12時、夕方は午後8時から午前2時)にLAMAを吸入するよう指示された。
■主要評価項目は、ランダム化から1年以内における、入院を要するCOPDの急性増悪、または全死因死亡の複合エンドポイントとされた。副次評価項目には、中等度のCOPD増悪、全入院、ICU入室、NIVの必要性、全死因死亡率、SABA使用量が含まれた。また、探索的評価項目として、CATおよびMRCスコアの変化が評価された。
■年齢の中央値は72歳、男性が52%を占め、多くの参加者がGOLD分類2(56%)または3(25%)に相当する1秒率を報告した。夕LAMA群では245名(5%)がイベントを経験したのに対し、朝LAMA群では249名(5%)であり、相対リスクは0.99(95%信頼区間0.84〜1.18、P=0.93)で、統計的に有意差はなかった。この結果は、修正ITT解析においても一貫していた。副次評価項目に関しては、ICUへの入室リスクにおいてのみ群間差が観察された。夕方LAMA群では61名(1%)が入室したのに対し、朝LAMA群では95名(2%)であった(P=0.046)。しかし、この差は修正ITT解析では有意ではなかった(P=0.26)。その他の中等度増悪、全入院、NIV、全死因死亡率、SABA使用量については、両群間で差はなかった。
■アドヒアランス(服薬遵守)に関しては、夕投与群で低い傾向が見られたことが特筆される。質問票に回答した患者のうち、割り当てられた投与時間を遵守していた割合は、夕LAMA群では6ヶ月時点で73%、12ヶ月時点で66%であったのに対し、朝LAMA群ではそれぞれ92%と高い遵守率を維持していた。
■LAMAの夕方投与は、入院を要するCOPDの重篤な増悪や死亡のリスクを朝投与と比較して変化させなかった。
by otowelt
| 2025-12-11 00:27
| 気管支喘息・COPD










