WAYFINDER試験:重症喘息におけるテゼペルマブのOCS減量効果
2025年 12月 05日
テゼペルマブは、過去に実施されたプラセボ対照第3相試験であるSOURCE試験において、主要評価項目であった経口ステロイド薬(OCS)の減量効果について統計学的有意差を示すことができませんでした。この要因として、SOURCE試験ではプラセボ群においても高い割合でOCS減量が達成されたことが挙げられています。これは、好酸球性炎症ではなく、肥満や精神的要因など2型炎症以外のメカニズムに起因する症状に対してOCSが使用されていた症例が混在していたためと考察されています。
今回報告されたWAYFINDER試験は、テゼペルマブのOCS減量効果を再評価するために実施されました。現在、重症喘息に対する生物学的製剤の使用は標準治療となっており、長期間のプラセボ対照試験を実施することは倫理的および実務的に困難であるため、本試験は単群・非盲検試験として設計されました。本試験では、より厳密な患者選定と、副腎機能評価を組み込んだ個別化された減量プロトコルを用いることで、テゼペルマブの有効性と安全性が評価されました。
■WAYFINDER試験は、OCS依存性の重症コントロール不良喘息患者を対象に、テゼペルマブのOCS減量効果および安全性を評価することを目的とした、第3b相、多施設共同、単群、非盲検試験として実施された。試験は世界11カ国(アルゼンチン、ベルギー、ブルガリア、フランス、ドイツ、ラトビア、メキシコ、ポーランド、スペイン、英国、米国)の68施設で行われた。
■対象とされたのは18歳から80歳の成人で、高用量ICS/LABAを6ヶ月以上使用しているにもかかわらずコントロール不良であり、かつスクリーニング前の3ヶ月間、プレドニゾンまたはプレドニゾロン換算で1日5mgから40mgのOCS維持療法を継続している患者である。また、過去12ヶ月以内に少なくとも1回の喘息増悪歴を有することが条件とされた。本試験では、血中好酸球数(BEC)に基づく登録目標が設定され、BECが150/µL以上の患者を約80%、150/µL未満の患者を約20%(過去に300/µL以上の記録がある者とない者を半数ずつ)組み入れることで、幅広い表現型の患者が含まれるよう設計された。 試験期間は、最大4週間のスクリーニング期間、4週間の導入期、48週間のOCS減量・維持期、そして12週間のフォローアップ期間で構成された。
■参加者は、テゼペルマブ210mgを4週間ごとに皮下投与された。導入期の最初の4週間はベースラインのOCS用量を維持し、その後、事前に規定された「個別化された急速減量プロトコル」に従ってOCSの減量が開始された。このプロトコルでは、ベースラインのOCS用量に応じて減量ペースが設定されており、例えば20mg/日を超える場合は1週間に5mgずつ、10mg/日以下の場合は2週間に2.5mgずつといったように、安全かつ迅速な減量が目指された。 重要な点として、OCS用量が1日5mgまで減量された時点で、早朝血清コルチゾール検査による副腎機能評価が実施された。コルチゾール値が正常(>350 nmol/L)であれば減量を継続し、判定不能または低値の場合はACTH刺激試験または再検査が行われた。副腎機能不全が確認された場合は減量を一時中断または中止するなど、副腎クリーゼのリスクを回避するための厳格な手順が適用された。
■主要評価項目は、28週および52週時点において、喘息コントロールを喪失することなく「維持OCS用量を1日5mg以下に減量できた割合」および「OCSを完全に中止できた割合」の2つが設定された。副次評価項目には、OCSの用量変化率、年間喘息増悪率、1秒量、患者報告アウトカム(ACQ-6、AQLQ(S)+12、SGRQ)などが含まれた。
■2022年5月から2024年9月にかけて382名が登録され、そのうち298名がテゼペルマブの投与を受け、有効性および安全性解析の対象となった。参加者の平均年齢は54.4歳、69.1%が女性であり、ベースラインの平均維持OCS用量は1日10.8mgだった。ベースラインのBECに関しては、150/µL未満の患者が28.9%、300/µL以上の患者が41.9%含まれており、予定通り多様な患者背景が確保された。
■主要評価項目の解析結果は、テゼペルマブにおけるOCS減量効果を示した。喘息コントロールを維持したままOCS用量を1日5mg以下に減量できた参加者の割合は、28週時点で88.9%(95%信頼区間 84.8-92.3)、52週時点で89.9%(95%信頼区間 85.9-93.1)に達した。さらに、OCSを完全に中止できた参加者の割合は、28週時点で32.2%(95%信頼区間 26.9-37.8)、52週時点では50.3%(95%信頼区間 44.5-56.2)だった。特筆すべきは、28週時点でOCSを中止した参加者の97.9%が52週時点でも中止を維持していたことである。
■サブグループ解析において、これらの効果はベースラインのBEC、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)、アレルギー状態に関わらず一貫して認められた。例えば、BECが300/µL未満の患者群における52週時点のOCS中止率は45.1%、300/µL以上の群では57.6%であり、従来の試験で見られたような低好酸球患者における効果の減弱はみられなかった。
■全体の年間喘息増悪率は0.57回/年であり、試験前の平均1.8回/年から減少した。1秒量はOCS減量中も安定して推移し、ACQ-6やAQLQ(S)+12などのQOLスコアはベースラインから臨床的に意義のある改善を示した。
■OCS用量が5mg/日に達して初期評価を受けた280名のうち、最初の検査で正常な副腎機能を示したのはわずか7.4%だった。確認検査を経てステータスが確定した247名の内訳は、完全な副腎機能不全が48.2%、部分的な副腎機能不全が23.5%、正常機能が28.3%であり、長期OCS使用によるHPA軸抑制がみられた。
■52週間の非盲検テゼペルマブ治療の結果、OCS依存性の重症コントロール不良喘息患者の約90%が、喘息コントロールを維持したまま維持OCS用量を1日5mg以下に減量し、50%以上が完全にOCSを中止した。
by otowelt
| 2025-12-05 01:26
| 気管支喘息・COPD










