HARVEST試験:結核性髄膜炎に対する高用量リファンピシン、死亡率改善せず


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RFPがステロイド曝露を低下させ、髄膜炎で重要な抗炎症効果が相殺された可能性が指摘されています





■本研究(HARVEST試験)は、成人結核性髄膜炎において「経口リファンピシン(RFP)を標準量(約10 mg/kg/日)から高用量(累積約35 mg/kg/日)へ8週間増量すると、生存転帰が改善するか」を検証した二重盲検・ランダム化・プラセボ対照第3相試験である。

■高用量群では標準治療(固定用量配合によりRFP約10 mg/kgに、INH・PZA・EMBを含む)へ追加RFP錠を上乗せし、対照群は外観一致のプラセボを追加した設計で、割付は施設・HIV・重症度で層別化され、患者と研究者は割付を知らない条件で実施された。主要評価項目は6か月死亡である。

■対象はインドネシア、南アフリカ、ウガンダの9病院で登録され、529例が無作為化された。事後に事前規定の「遅発除外基準」等で除外された症例を差し引き、intention-to-treat(ITT)解析には高用量249例、標準量250例の計499例が含まれた。集団の特徴として、HIV合併が60.9%、症例定義で「確定または疑い(definite/probable)」が85.8%を占めており、実臨床に近い重症例を多く含む集団である。

■主要評価項目である6か月死亡は、高用量群109例(Kaplan–Meier推定44.6%)、標準量群100例(同40.7%)であり、群間差は統計学的に有意ではなく、高用量の利益は示されなかった(ハザード比1.17、95%CI 0.89–1.54、P=0.25)。むしろ、6か月以内に死亡した症例に限ると死亡までの時間中央値は高用量群13日、標準量群24日で、高用量群で早期死亡が目立つ所見が付随していた。

■副次評価項目でも一貫して利益は確認されていない。機能予後としてのmodified Rankin scaleは群間差を示さず(オッズ比0.80、95%CI 0.58–1.11)、12か月死亡も高用量群47.0%に対し標準量群43.7%で差がなく(死亡のハザード比1.14、95%CI 0.88–1.49)、主要転帰と同様に「改善なし」という結論であった。

■登録時点でARTを受けていたHIV合併例では高用量群の死亡リスクが高い方向で(ハザード比2.01、95%CI 1.07–3.78)、髄液白血球数が5/µL未満例でも同様に高用量群が不利であった(ハザード比2.01、95%CI 1.14–3.54)。

■プロトコール定義の薬剤性肝障害は高用量20/249(8.0%)、標準量11/250(4.4%)で、P=0.09であり、有意差はなかった。ALT≥5×ULNは高用量13/249(5.2%)と標準量15/250(6.0%)で差がない(P=0.71)のに対し、総ビリルビン≥2.6×ULNは高用量24/249(9.6%)が標準量9/250(3.6%)より多く、こちらは有意差がみられた(P=0.007)。重篤有害事象の割合は高用量33.7%と標準量40.4%で差はないが、誤嚥性肺炎は高用量16/249(6.4%)が標準量4/250(1.6%)より多く(P=0.006)、臨床上は看過しにくい差である。

■成人結核性髄膜炎における経口RFP累積約35 mg/kg/日の8週間上乗せが、6か月死亡を改善しないことを示した(HR 1.17、P=0.25)。特定サブグループでの不利益のシグナルも踏まえると、RFP高用量化を標準戦略として広く採用する根拠は乏しい。





by otowelt | 2025-12-27 01:18 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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