PPIの慢性使用 喘息やCOPDの増悪と関連

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本研究は、ベルギーの全国規模データを用いて、PPIの使用が喘息やCOPD患者の増悪にどのように関与しているかを明らかにした報告です。




■本研究は、閉塞性肺疾患患者における慢性的なPPI使用と、呼吸器症状の増悪リスクとの関連を調査することを目的とした。特に、投与量に応じたリスクの変化(用量反応関係)に焦点を当てた。

■2017年から2022年のベルギー全国請求データを用い、18歳以上の閉塞性肺疾患患者(喘息、COPD、およびその重複)93万2,135人を対象とした 。前年の1日定義投与量(DDD)に基づき、PPI使用を「1-28DDD」「29-180DDD」「181-365DDD」「>365DDD」の4カテゴリーに分類し、多変量Coxモデルおよび傾向スコア重み付け法(IPTW)を用いて解析した。

■対象者の44.6%(416,087人)がPPI使用者であり、非使用者と比較してPPI使用者は増悪リスクが有意に高かった(調整ハザード比[aHR] 1.18、95%CI:1.17–1.19)。また、累積投与量が増えるほど増悪リスクも段階的に上昇し、>365 DDD群ではaHR 1.24(95%CI:1.23–1.26)に達した。

■サブグループ解析では、この関連はGERD診断がない患者、喘息患者、50歳未満の若年層、非フレイル患者、およびPPIの血中濃度を上昇させるCYP2C19阻害薬を併用している患者でより顕著であった。一方で、1週間以内の短期使用や、明確なGERD診断がある患者での少量・短期間の使用では、増悪リスクの有意な増加は見られなかった。

■PPIが増悪を誘発するメカニズムとして、腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)による肺への影響(腸肺循環)、プロトンポンプが存在する血管内皮への直接的な損傷、胃酸抑制によるタンパク質消化不良に伴う免疫感作、ビタミン・ミネラル欠乏などが推測されている。

■閉塞性肺疾患患者における慢性的なPPI使用は、呼吸器症状の増悪リスク増加と関連している。臨床現場では、特に明確な適応がない場合、PPIの安易な長期処方を再考する必要がある。





by otowelt | 2026-02-19 00:17 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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