BICS試験:COPDに対するβ遮断薬
2026年 01月 29日
この研究結果は「COPD患者全般への予防的β遮断薬投与は有効でない」ことを示唆するものであり、心不全合併COPD例に対するβ遮断薬の使用を否定するものではありません。
■COPD患者において心血管疾患は一般的であるが、β遮断薬が心イベントや死亡率を減少させる上での有効性と安全性については不明であった。本試験(B-COPD試験)は、通常のCOPD治療に選択的β遮断薬であるビソプロロールを加えることで、心肺予後が改善するかを評価することを目的とした。
■オーストラリア、インド、ニュージーランド、スリランカの22施設で実施された多施設共同二重盲検ランダム化比較第3相試験である。40〜85歳で、気管支拡張薬投与後のFEV1が予測値の30〜70%であり、過去2年間に少なくとも1回の増悪歴があるCOPD患者を対象とした。参加者はビソプロロール群(1.25〜5mg/日)またはプラセボ群にランダムに割り振られ、2年間の追跡調査が行われた。
■280名(ビソプロロール群143名、プラセボ群137名)が割り付けられ、249名が2年間のフォローアップを完了した。主要評価項目である心肺健康状態の階層的評価(死亡、心肺疾患による入院、増悪、QOL、FEV1を含むwin ratio)において、ビソプロロール群のプラセボ群に対する勝利率は0.95(95%CI:0.72〜1.25、p=0.72)であり、有意差は認められなかった。
■全死因死亡、心肺疾患による入院、主要な心血管イベント(MACE)、あるいは中等症から重症のCOPD増悪の頻度についても、両群間に有意な差は見られなかった。また、肺機能(FEV1)、COPD症状、QOLスコア、および有害事象の発現率についても、両群で同等であった。
■最も頻度の高い有害事象はCOPDの増悪であり、ビソプロロール群で83名(58%)、プラセボ群で87名(64%)に認められた。死亡例はビソプロロール群で15名(10%)、プラセボ群で11名(8%)であったが、いずれの死亡も治験薬との因果関係はないと判断された。
■中等症から重症のCOPD患者において、ビソプロロールの投与は全体の心肺健康状態、全死因死亡率、あるいは重篤な心肺イベントに対して改善効果を示さなかった。従って、心血管の明確な適応がない患者に、COPDアウトカム改善目的で上乗せする根拠は乏しい。
by otowelt
| 2026-01-29 01:11
| 気管支喘息・COPD










