肺NTM症に対するクロファジミン157例解析

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かなりまとまった報告です。あまりにもヘテロな集団なので、うまくまとめるのが難しそうです。

■肺NTM症治療は依然として困難であり、治療成功率は60〜70%、とりわけM. abscessusでは約40%にとどまる。クロファジミンはフェナジン系薬剤で、近年の国際ガイドラインでNTM-PDへの使用が推奨されつつあるが、エビデンスは限定的である。本研究はオーストラリアの多施設コホートにおけるクロファジミン含有レジメンの有効性と安全性を評価した。

■2017年6月〜2022年6月に、クイーンズランド州の主要5病院でクロファジミンを含むレジメンで治療されたNTM-PD患者を対象とした後方視的研究である。治療成功はNTM-NETコンセンサスに基づく微生物学的治癒または臨床的治癒と定義された。

■157例が解析に含まれた。患者の年齢中央値は70歳(IQR 61〜76歳)、女性が106例(68%)を占めた。NTM菌種はMAC113例(72%)で最多であり、うちM. intracellulare 91例(58%)、M. avium 22例(14%)であった。M. abscessus は36例(23%)であった。空洞病変は41例(26%)に認められた。

■クロファジミンの使用時期は、第一選択での治療93例(59%)、他剤の代替治療29例(19%)、治療不応例への追加治療(add-on)35例(22%)であった。投与量は93%の患者で100 mg/日であった。

■治療転帰が記録された147例のうち、88例(56%)が治療成功を達成し、そのうち76例(48%)が細菌学的治癒、12例(8%)が臨床的治癒であった。治療失敗は59例(38%)で、培養陰転化未達成16例(10%)、治療強化18例(12%)、副作用による中止16例(10%)、NTM症の進行による死亡9例(6%)であった。

■菌種別の治療成功率はMAC 61%(65/106例)、M. abscessus 56%(19/34例)であり、両群間に統計学的有意差は認められなかった(OR 0.79, 95% CI 0.37–1.75, P=0.286)。空洞の有無、塗抹陽性の程度による治療成績にも有意差はなかった。

■クロファジミンの有害事象は79例(50%)に報告された。最も多かったのは皮膚症状41例(26%、主に皮膚変色36例)、次いで消化器症状36例(23%、主に下痢29例)であった。有害事象の発現中央値は全体で16週(IQR 6〜38週)、皮膚21週、消化器7週であった。クロファジミン腸症は4例(3%)に発生し、発症中央値は154週(IQR 87〜202週)と遅発性であった。有害事象を経験した79例のうち42例(26%)は用量変更なく継続でき、最終的にクロファジミン中止に至ったのは21例(13%)にとどまった。中止理由は消化器症状12例(7%)、皮膚症状5例(3%)が主であった。

■MACとM. abscessus間で成功率に有意差がなかった点は、菌種横断的なクロファジミンの有用性を示唆する。安全性面では有害事象発現率50%と高いものの、中止率は13%にとどまり忍容性は比較的良好であった。クロファジミン腸症は中央値154週と遅発性のため、長期使用時の消化器症状出現には積極的な精査が求められる。対照群を持たない観察研究であり、今後のランダム化比較試験による検証が期待される。





by otowelt | 2026-03-03 00:23 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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