PFOX研究:線維性ILDに対する携帯型酸素療法

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COPDに引き続き、線維性ILDの労作時のみのSpO2低下に対して、酸素療法の有益性は高くない可能性があります。

【メモ:過去の関連研究】
・NOTT研究(1980年)
対象: COPD患者203名
結果: 24時間/日のLTOTが12時間/日より生存率改善(1年生存率 88% vs 77%)

・MRC研究(1981年)
対象: COPD患者87名
結果: 15時間/日以上のLTOTが無治療群より生存率改善(5年生存率 42% vs 0%)

・LOTT研究(2016年)
対象: 中等度の低酸素血症(SpO289-93%)または軽度の運動時低酸素血症のCOPD患者738名
結果: LTOTの死亡率・入院率改善効果なし

・INOX研究(2020年)
対象: 夜間低酸素血症のCOPD患者243名
結果: 夜間酸素療法の生存率改善効果なし

・REDOX研究(2025年)
対象:重度の低酸素血症がある患者241名
結果:24時間/日の酸素療法は不要で、15時間/日で十分な効果が得られる




■携帯型酸素療法は、線維性ILDを有する患者における日常生活活動中の労作時低酸素血症の治療に用いられることがある。しかしながら、その有効性に関するエビデンスは乏しい。

■本試験は、労作時のみの低酸素血症を有する線維性ILD患者を対象に、6ヵ月間にわたる日常生活における身体活動量について、携帯型酸素療法と携帯型空気投与(シャム)の効果を比較することを目的とした。

■本試験は、オーストラリアおよびスウェーデンの7施設で実施された多施設共同並行群間ランダム化シャム対照試験である。適格基準は、18歳以上の線維性ILD患者で、労作時低酸素血症(すなわち6分間歩行試験でSpO₂≤88%)を有する者とした。参加者は1:1の割合で、携帯型酸素濃縮器(Inogen One G3HF)を用いた日常活動中の携帯型酸素投与群、または外観・表示・重量・操作が同一の装置による空気投与群(シャム)にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、ITT集団においてStepWatch活動量計で測定した3ヵ月時点での身体活動量(1日あたりの平均歩数)の変化とした。

■2019年8月6日から2024年1月10日の間に、614名が適格性について評価された。116名が携帯型酸素群(n=59)または携帯型空気群(n=57)にランダムに割り付けられた。116名中79名(68%)が男性、37名(32%)が女性であった。平均年齢は71歳(標準偏差10)であった。

■3ヵ月時点での1日あたりの平均歩数の変化について、携帯型酸素群(-271歩/日、95%信頼区間 -702~161)と携帯型空気群(64歩/日、-377~505)の間に有意差は認められなかった(群間差 -334歩/日、-803~134)。試験治療に関連した重篤な有害事象はなく、有害事象の件数および種類に群間差は認められなかった。

■線維性ILDおよび労作時低酸素血症を有する患者において、携帯型酸素濃縮器による携帯型酸素療法は、日常生活における身体活動量に関して携帯型空気投与と比較して利益をもたらさなかった。労作時のみの低酸素血症を有する線維性ILD患者に対する携帯型酸素濃縮器を用いた携帯型酸素療法のルーチンな処方は適応とならない可能性がある。





by otowelt | 2026-03-08 01:06 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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