肺Mycobacterium abscessus症に対するオマダサイクリン単剤治療
2026年 03月 06日
本研究は、肺 Mycobacterium abscessus症に対しするオマダサイクリン単剤療法の有効性と安全性を検討したRCTです。3か月はガイドライン治療開始を要しない=watchful waitingが許容されるであろう、と研究者が判断した患者に限定されていますが、肺NTM症を診療している立場からするとインパクトは大きいです。
オマダサイクリン単剤治療だと耐性化の懸念があるように思いましたが、84日目または治療終了時においてオマダサイクリンに対する感受性の低下(MIC値の4倍を超える上昇)を示した株は認められませんでした。
オマダサイクリンは海外でニュージラという名前で発売されていますが、日本では未承認です。
Winthrop KL, et al. Omadacycline Monotherapy in Nontuberculous Mycobacterial Pulmonary Disease Caused by Mycobacterium abscessus: Results From a Phase 2, Double-blind, Randomized, Placebo-controlled Study. Clin Infect Dis. 2026 Mar 3; ciag062.
■本研究は、M. abscessusによる肺NTM症患者を対象に、経口オマダサイクリン単剤療法の有効性、安全性、耐容性を評価した第2相、二重盲検、ランダム化、プラセボ対照試験である。
■アメリカ17施設で、M. abscessusによる肺NTM症と診断された成人患者66人を、オマダサイクリン群(300mg/日、41人)またはプラセボ群(25人)に1.5:1の割合で割り当て、84日間投与した。(1)「ベースライン症状の半数以上が改善」、(2)「(1)に加えてベースライン症状の悪化なし」の2定義で判定した。
■主要評価項目である84日時点の臨床アウトカム(2)において、オマダサイクリン群は34.1%であり、プラセボ群の12.0%と比較して有意に高い改善率を示した(P=0.046)。
■QOL指標(QOL-B)においても、オマダサイクリン群では全8ドメインで数値的な改善がみられたが、統計学的に有意差があったのはVitalityドメインのみであった(P=0.002)。
■微生物学的評価では、84日目時点の喀痰培養陰性率はオマダサイクリン群で53.8%、プラセボ群で25.0%であり、オマダサイクリン群が有意に優れていた(P=0.036)。
■また、2回連続の培養陰性(56日目および84日目)を達成した割合も、オマダサイクリン群(41.7%)がプラセボ群(13.0%)を上回った(P=0.023)。
■安全性に関しては、オマダサイクリン群で最も頻度の高い治療関連有害事象は悪心(53.7%)であったが、その多くは軽症であり、悪心による投与中止例はなかった。有害事象による中止はオマダサイクリン群で4例(9.8%)認められたが、重篤な有害事象は同群では発生しなかった。
■オマダサイクリン単剤療法は、肺M. abscessus症において、プラセボと比較して臨床症状および微生物学的アウトカムを一貫して改善させた。既存の多剤併用療法と比較して管理しやすく、新たな治療選択肢としてさらなる検証が期待される。
by otowelt
| 2026-03-06 01:57
| 抗酸菌感染症










