Gram染色写真、AIで診断できるか?
2026年 03月 10日
昔、スマホを接眼レンズにつけて撮影していましたが(ムズイ)、今は顕微鏡に撮影機能がついているものも多いです。スマホ画像をAIで診断できないかを検討したものです。
■敗血症において原因菌の早期検出と適切な抗菌薬投与は予後改善に直結するが、Gram染色像の正確な判読には高度な技術を要し、微生物検査専門の臨床検査技師が不在となる夜間・休日には実施されない施設も多い。本研究は、スマートフォン搭載AIソフトウェア「BiTTE-iE」(CarbGeM社)を用いて、血液培養陽性検体のGram染色画像から病原体を分類・同定する精度を評価した。
■埼玉医科大学病院において2025年1月~3月に提出された血液培養陽性ボトル177本(139症例、好気95本・嫌気82本)を対象とした。Gram染色は変法Gram染色を用い、経験年数4~33年の臨床検査技師4名が鏡検した。iPhone SEを顕微鏡接眼レンズに装着し、BiTTE-iE ver. 3.5.3で画像を解析した。本ソフトウェアは教師あり学習に基づき、「主要病原体分類」(GPC/GPR/GNC/GNR/Yeast)、「Group-level」分類、「Species-level」分類の3段階で判定を行う。AI判定結果を臨床検査技師の鏡検所見および培養+MALDI-TOF MSによる最終同定結果と比較し、一致率を評価した。
■腫瘍病原体分類の全体一致率は93.8%(166/177)であった。カテゴリー別では、GPC 97.6%(80/82)、GPR 88.9%(24/27)、GNR 90.9%(60/66)、Yeast 100%(2/2)であり、GNCは該当検体がなかった。一方、臨床検査技師の鏡検による一致率は98.9%(175/177)であった。AI誤判定例の原因として、暗い背景、球菌の重なりによる桿菌様外観、残染の誤認、Corynebacterium属のブドウ球菌様形態などが挙げられた。Group-level分類では、GPC-C/GPC-S/GPC-Eの3主要グループの一致率は81.3%(65/80)であり、S. aureusは全例GPC-Cとして正しく分類された。しかしS. aureus以外のブドウ球菌ではレンサ球菌や腸球菌への誤分類がみられた。Species-level分類の全体一致率は41.5%(66/159)と低く、E. coli 54.8%(17/31)、S. aureus 65.2%(15/23)にとどまった。P. aeruginosaは全例(0/9)がEnterobacteralesに誤分類され、Enterococcus属のSpecies-level一致率も0%(0/5)であった。
■BiTTE-iEは経験的治療のための抗菌薬選択において潜在的な有用性を示した 。スマートフォンベースという高いアクセシビリティは夜間・休日や小規模施設での活用に有望であり、今後はAIの判定根拠の可視化や多施設検証が課題となるであろう。
by otowelt
| 2026-03-10 00:47
| 感染症全般










