本の紹介:間違いだらけの緩和薬選び Ver.5
2026年 04月 08日
私が研修医の頃は、緩和ケアをやっている病院はまれ、という位置づけでした。地域に1つ・2つ力を入れている病院があるような感じで、感染症科と同じように、まだ日本では普及していませんでした。
著者は、ご存知、早期緩和ケア大津秀一クリニックの大津秀一先生です。実はYahoo!オーサー・コメンテーター仲間です。勝手に親近感持ってます。
本書を手に取ってまず開いたのは、現場で困る場面の多い「せん妄」「不眠」「皮下点滴」の章でした。睡眠障害の項では、デュアルオレキシン受容体拮抗薬(DORA)の使い分けが分かりやすく整理されています。最近発売されたボルズィは切れ味がよく、寝起きも比較的良好とのことで、現場で重宝しそうな選択肢だと感じました。
皮下点滴は、緩和ケアの領域から広まった治療法の一つです。私自身、終末期の患者さんで末梢ルートの確保が困難な場合に選択することがあり、がんに限った手技ではありません。本書では抗菌薬の皮下投与に関する報告やエビデンスにも触れられており、参考になります。ただし通常の投与経路とは異なるため、実際に導入する際には患者さんやご家族への十分な説明が欠かせないでしょう。
専門医でなくても、入院患者を受け持つ医師であれば必ず直面する壁に、具体的な選択肢と根拠を示してくれます。緩和ケアを専門としない先生にこそ手に取っていただきたい本です。
by otowelt
| 2026-04-08 00:23
| 肺癌・その他腫瘍










