COPD増悪におけるCandida属の分離
2026年 05月 06日
■COPD増悪(AECOPD)において、細菌やウイルスが主要な誘因であることは広く認識されているが、下気道から分離される真菌、とりわけCandida属の臨床的意義は依然として不明確である。Candidaは下気道からの分離頻度が他の病原真菌より高いにもかかわらず、単なる汚染あるいは無害な定着として扱われることが多く、これまで十分に検討されてこなかった。一方で、ICU症例における気道Candida定着が予後不良と関連することや、Candida定着が侵襲性カンジダ症の独立した危険因子であることを示す知見も蓄積されている。
■本研究は、下気道からのCandida分離がAECOPD患者の臨床像、急性増悪イベント、長期予後に与える影響を明らかにすることを目的とした後方視的ケースコントロール研究である。
■対象は2018年1月から2020年12月に広西医科大学第一附属病院に入院したAECOPD患者である。COPDの診断は2019年GOLD基準に従い、気管支拡張薬吸入後のFEV1/FVC<70%を満たす症例とした。急性増悪は日常変動を超える呼吸困難・咳嗽・喀痰の変化により入院を要した場合と定義した。50歳未満、他の全身疾患による入院、喀痰排出不能、口腔カンジダ症または口腔白板症、Candida以外の真菌分離例、血液・便・尿からのCandida分離例、誘発喀痰またはBALFが得られなかった症例は除外した。
■下気道検体(誘発喀痰またはBALF)の塗抹または培養で少なくとも1回Candidaが陽性であった症例をCandida陽性群、それ以外をCandida陰性群と分類した。3〜6か月ごとに追跡し、2022年4月30日まで生存状況を確認した。
■主要評価項目は急性増悪イベント、副次評価項目は死亡とした。
■225例が組み入れられ、Candida陽性群88例、陰性群137例であった。検出菌種はC. albicansが87.5%と最多で、Nakaseomyces glabratus(旧C. glabrata)10.2%、C. tropicalis 6.8%、C. parapsilosis 2.3%、Pichia kudriavzevii(旧C. krusei)1.1%であった。細菌検出率は両群で差がなく(87.5% vs 83.2%)、ウイルス検査は全例陰性であった。
■過去1年間の急性増悪経験者の割合自体は両群で有意差はなかったが、増悪後に入院を要した患者の割合はCandida陽性群で85.0%(51/60)、陰性群で62.2%(51/82)と、陽性群で増悪の重症度が高かった。
■生存解析では、Candida陽性群で33例(37.5%)、陰性群で19例(13.87%)が死亡した。12、24、36か月生存率はCandida陽性群でそれぞれ80.7%、70.1%、59.1%、陰性群で93.4%、91.0%、84.5%であり、Candida陽性群の生存率は有意に低かった(P<0.001、HR 3.257、95%CI 1.850–5.735)。ロジスティック回帰分析では、下気道Candida分離陽性とmMRC grade 4が、過去1年間の急性増悪イベント(OR 1.949、P=0.036/OR 2.893、P=0.012)および増悪による入院(OR 1.931、P=0.022/OR 2.977、P=0.001)の独立した危険因子として同定された。
■AECOPD入院例の約4割で下気道からCandidaが検出され、Candida分離陽性とmMRC grade 4は急性増悪・入院の独立した危険因子であり、より強い気流制限・症状重症度・不良な長期予後と関連する。
by otowelt
| 2026-05-06 02:39
| 気管支喘息・COPD










