TETON-1/TETON-2試験:IPFに対する吸入トレプロスチニル


TETON-1/TETON-2試験:IPFに対する吸入トレプロスチニル_e0156318_00020726.png

77.6%が抗線維化薬を併用した集団全体において、FVC差130 mLが得られています。




■吸入トレプロスチニルはプロスタサイクリン誘導体であり、もともと肺高血圧症に用いられてきた薬剤である。間質性肺疾患関連肺高血圧症(ILD-PH)を対象としたINCREASE試験の事後解析でFVC低下抑制が観察されたことに加え、前臨床・臨床における抗線維化作用の根拠を背景として、IPFを対象とする2つの第3相試験(TETON-1、TETON-2)が実施された。

■二重盲検ランダム化比較試験。IPF患者を吸入トレプロスチニル群(1日4回、各12吸入)とプラセボ群に1:1で割り付けた。主要評価項目は52週時点でのFVC変化量。副次評価項目は階層的検定により、(1)臨床的悪化(全死亡・呼吸器関連入院・%FVC 10%以上の低下のいずれか初発)、(2)IPF急性増悪(いずれもtime-to-event)、(3)生存、(4)%FVC変化、(5)QOL、(6)52週時点のDLco変化、の順に解析された。

■計598例(各群299例)が無作為化され、52週まで完遂したのは434例(トレプロスチニル群218例、プラセボ群216例)であった。平均年齢73.0歳、男性77.3%、ベースライン%FVC 74.6%、77.6%が抗線維化薬を併用していた。52週時点のFVC変化量の中央値は、トレプロスチニル群-43.3 mL(95%CI -92.1から-9.1)、プラセボ群-196.2 mL(95%CI -227.1から-155.6)で、両群差は130.1 mL(95%CI 82.2から178.1、P<0.001)であった。臨床的悪化はトレプロスチニル群31.8%、プラセボ群44.5%(ハザード比0.67、95%CI 0.52から0.88、P=0.003)で有意差を認めた。一方、急性増悪までの時間に有意差は認められず、階層的検定はここで終了したため、それ以降の副次評価項目に関する推測統計的結論は導出されていない。

■最も多い有害事象は咳で、トレプロスチニル群54.8% vs プラセボ群33.1%。中止率はそれぞれ40.5%、32.8%、うち有害事象によるものはそれぞれ20.7%と14.7%であった。統合解析でも有効性・安全性の傾向は同様であった。

■IPF患者において吸入トレプロスチニルは、52週にわたるFVC低下をプラセボに比して有意に抑制し、臨床的悪化イベントを減少させた。一方で急性増悪に対する効果は示されず、生存への影響は本試験では結論づけられない。





by otowelt | 2026-05-19 07:58 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31