嚢胞性線維症における緑膿菌感染症
2008年 12月 02日
ほとんどの呼吸器内科医は、
嚢胞性線維症(cystic fibrosis: CF)と聞いたら緑膿菌が頭に出てくるはずだ。
CFは白人に特有な遺伝病である。
CF患者の平均寿命は30年ほどだが、P. aeruginosa感染が死亡原因のひとつである。
P. aeruginosaの病原因子の発現の多くは、同種間のコミュニケーション機能である
クォーラムセンシング(quorum sensing:特定の細胞密度(定足数)の感知システム)
によって制御されていることから、多くの研究者がP. aeruginosa のQS研究に
携わっている。
それはさておき、computer-assisted SalI DNA fingerprinting により
抽出したニュージーランドのCF患者の緑膿菌の伝播における論文がERJで紹介された。
要は、CF患者における緑膿菌は人から人へ伝播している過程をとっているものが
多いわけではなさそうという。
Pseudomonas aeruginosa transmission is infrequent in New Zealand cystic fibrosis clinics. Eur Respir J 2008; 32:1583-1590
呼吸器内科やってますが、CFなんて見たことない。
日本におけるDPBみたいなマユツバものではなく、れっきとした疾患ではあるので
海外で恥をかかぬよう、呼吸器内科医としては知っておきたい疾患ではある。
ちなみに
成人CF患者の緑膿菌慢性気道感染に対する治療のガイドライン(Birmingham, UK)は、
第1選択としてCPFXの単独療法
第2選択以降はβラクタム+アミノ配糖体
by otowelt
| 2008-12-02 16:04
| びまん性肺疾患