VAT(人工呼吸関連気管炎)


Ventilator-Associated Tracheobronchitis The Impact of Targeted Antibiotic Therapy on Patient Outcomes. CHEST February 2009 vol. 135 no. 2 521-528

VATとは、発熱・白血球上昇・膿性痰といった所見があり、細菌学的情報(Gram stain with bacteria and leukocytes, with either a positive semiquantitative or a quantitative sputum culture)が認められ、胸部レントゲン異常がみられない病態を指す。

バイオフィルムとは、微生物などがコロニー状に集まり、固体に付着した状態。
身近な物では水道管や掃除してない風呂場のタイル、川面の石の表面のヌルヌル。
体内では口の中の歯苔がバイオフィルムである。
バイオフィルムは緑膿菌、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、肺炎球菌、
う蝕原因菌のミュータンス連鎖球菌、歯周病原因菌のグラム陰性嫌気性桿菌と
唾液や組織液に含まれる糖タンパク質に由来するペリクル(獲得被膜)で構成。

バイオフィルムは抗生物質や免疫物質などの浸透を阻止し、破壊への抵抗性を示す。
除去には機械的除去しかない。
ICUの患者では、気管チューブや経鼻胃管を使用していると肺炎が多い。
口腔内に常在しているブドウ球菌、肺炎球菌、緑膿菌、肺炎桿菌は、
それらのカテーテルにバイオフィルムを形成し、そのバイオフィルム細菌が
カテーテルを介して呼吸器官に容易に入り込み、
人工呼吸器関連肺炎(ventilatorassociated pneumonia VAT)発症させる。
by otowelt | 2009-02-12 11:51 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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