COPDのincidence rateについての考察


今週のCHESTより。
COPDの疫学は、発見が遅いことから未開拓領域。
そのため、インパクトファクターも甘い傾向にある。

Prevalence, Incidence, and Lifetime Risk for the Development of COPD in the Elderly.Chest February 2009 135:368-377; published ahead of print February 5, 2009, doi:10.1378/chest.08-0684

背景:
 COPDの有病率prevalenceはすでに考察されている論文がいくつかある。
 (Lancet2007の有病率10.1%が有名か?
  ・・・・・・・・・40歳以上の成人の10人に1人がstageⅢ以上)
 
 しかしながら、COPDの発生率incidenceに関しての報告は少ない。

 prevalence: ある一時点においての疾病を有している人の割合
 incidence:ある一定期間における新たなる疾病の発症頻度(人年)


方法:
 prospective population-based cohort studyを
 55歳以上のCOPD患者でおこなった。

結果:
 7,983人の患者が登録され、648症例が平均11年のフォローアップで
 COPDを発症している。overall incidence rate (IR)は9.2/1,000人年。
 [95%CI, 8.5~10.0]
 IRはもちろん、男性の方が多かった。
 ・男性:(14.4/1,000人年; 95% CI, 13.0~16.0)
 ・女性:(6.2/1,000 PY; 95% CI, 5.5 to 7.0)
 また、スモーカーの方が高かったのは言わずもがな。
 そして、このIRは55~59歳の若い女性にも患者群として
 有意に多かったという結果が出た。(7.4/1,000人年; 95%CI, 4.1~12.6)
 
by otowelt | 2009-02-25 11:47 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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