AMI後、クロピドグレルとPPI併用で再梗塞リスク上昇
2009年 02月 28日
急性心筋梗塞後にクロピドグレル(プラビックス)を内服している
高齢者では、PPIを併用すると再梗塞リスクが高くなるという論文。
2008年ACC/ACG/AHAガイドラインで、AMI後にアスピリンを
服用している患者の大部分にPPIの併用が推奨されているため、
この論文がセンセーショナルだということだ。
クロピドグレルは主に2C19によって代謝活性化されるが、
PPIにはこの2C19を競合的に阻害する薬剤がある。
方法:
退院後90日以内にAMIで再入院した患者734例。
コントロールはindex dateまで再入院しなかった患者2057例。
66歳以上でAMIで入院し、退院後3日以内にクロピドグレルを
開始した患者1万3636例の中からチョイス。
PPI併用の時期を近い順に、
・現在使用中 (再入院日~30日前)
・最近使用 (31~90日前)
・かなり前に使用 (91~180日前) と定義。
結果:
PPIを現在使用中の患者群で、PPIの使用と再梗塞の間に
有意な相関がみられた。オッズ比は1.27(95%CI:1.03-1.57)。
2C19を阻害しないパントプラゾールを
それ以外のPPI(オメプラゾール+ランソプラゾール+ラベプラゾール)と
分けて解析してみると、パントプラゾールの使用は再梗塞と相関しなかった。
それ以外のPPIの使用は再梗塞リスクを40%増大。
(オッズ比1.40、95%CI:1.10-1.77)。
~以下は日経メディカルオンラインより参照~
クロピドグレルは世界第2位の売上げがある薬剤であり、
「この薬物相互作用にさらされている患者数を考えると、本研究は
公衆衛生学的に大きな意味を持つ」と著者は指摘する。
著者らは、クロピドグレルに2C19を阻害するPPIを併用することは
できる限り避けるべきであり、代替薬としてパントプラゾールまたは
H2ブロッカーが適切ではないかと述べている。なお本研究の問題点
として、OTC薬の使用状況や、喫煙、血圧、コレステロールなどの
冠危険因子のデータがないことが挙げられるが、著者らは
「これらによって本研究の主要な結論が脅かされるものではない」としている。
by otowelt
| 2009-02-28 11:44
| 内科一般