抑うつ症状はCOPDの死亡率を上昇させる


今週のCHESTの論文より。
アブストラクトだけなので、死亡の原因がわからない・・・

実は以前にもERJで同じような論文はあった。
Relationship between depression and exacerbations in COPD
Eur Respir J 2008; 32:53-60

ERJ2008年の論文は、急性増悪に関するコホート研究であるが、
こういった研究は結構呼吸器領域では進んでいないことが多いのが現状。



Depressive Symptoms as Predictors of Mortality in Patients With COPD.
CHEST March 2009 vol. 135 no. 3 619-625


目的:
 COPD患者において抑うつ症状がどのように疾患に関与するか
 注目されていないところもある。
 COPDの全死亡率にどのように寄与するのかを明らかにした。

方法:
 121人のCOPD患者((男性78人、女性43人、平均年齢61.5 ± 9.1歳、
 平均%1秒率36.9 ± 15.5%)が登録され、肺リハビリセンターへ入院している患者。
 8.5年のフォローアップで、76人の死亡がみられた(mortality rate, 63%)。
 生存期間は88日から8.5年までで平均5.3年であった。
 
結果:
 抑うつ症状はCOPDにおける死亡と有意に相関(OR 1.93; 95%CI, 1.12~3.33)。
 他の独立因子としては、男性であること(OR, 1.73; 95% CI, 1.03~2.92)、
 高齢者であること(OR, 1.05; 95% CI, 1.02~1.08)、
 Wpeakの低いこと (OR, 0.98; 95% CI, 0.97~0.99)であった。

結論:
 抑うつ症状は安定したCOPD患者において、その後の死亡率を増悪させる。
by otowelt | 2009-03-08 16:47 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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