Stage IIIB/IV NSCLCに毎週のcetuximabとPTX/CBDCA併用は実施可能で効果も同等
2009年 03月 21日
セツキシマブという薬は、呼吸器内科医として
肺癌治療の将来のためにも知っておかねばならないものである。
この薬剤は、抗上皮細胞成長因子受容体(EGFR)抗体で
進行非小細胞肺癌対象に化学療法(CDDP+VNB)と併用で
1st-lineとして用いることで、全生存期間が対象群よりも
改善できることが明らかとなったため、脚光を浴びた。
●FLEX試験
FLEX試験は、30カ国166施設で行われた試験で、
EGFRを発現している3B期/4期の進行NSCLC患者を
シスプラチン、ビノレルビンのみを投与する群(化学療法のみ群)と
シスプラチンビノレルビンに加えてセツキシマブを投与する群(併用群)
セツキシマブは最初400mg/m2を投与し、その後は毎週250mg/m2を投与。
セツキシマブの投与は化学療法との併用終了後も維持療法として投与された。
セツキシマブ併用群には557人、化学療法のみ群には568人が割り付け。
化学療法のみ群、セツキシマブ併用群とも化学療法のサイクルの中央値は4。
試験の結果、OS中央値はセツキシマブ併用群が11.3カ月、
化学療法のみ群が10.1カ月、1年生存率はセツキシマブ併用群が47%、
化学療法のみ群では42%だった。ハザード比は0.871
(95%CI:0.762-0.996、p=0.044)で有意にセツキシマブ群の延長が認められた。
奏効率はセツキシマブ併用群が36%、化学療法のみ群が29%で有意に
セツキシマブ群の方が優れていた。治療成功期間もセツキシマブ併用群が4.2カ月
に対し、化学療法のみ群は3.7カ月で、ハザード比0.860(95%CI:0.761-0.971)で、
セツキシマブ併用群の方が優れていた。ただし、PFSは両群とも4.8カ月で有意差なし。
つまり、ケモと併用してセツキシマブを使うわけだが、
・Phase II study of paclitaxel, carboplatin, and cetuximab as first line treatment for patients with advanced non-small cell lung cancer (NSCLC): results of OPN-017. Journal of Thoracic Oncology. 2008;3:1266-1292.
・Cetuximab in combination with carboplatin and docetaxel for patients with metastatic or advanced-stage nonsmall cell lung cancer: a multicenter phase 2 study. Cancer. 2008;113:2512-2517.
上記の論文ではCBDCA+DOCにセツキシマブを加えることでの有用性が
報告されている。
ご紹介するのは、CBDCA+PTXにセツキシマブを併用する場合のphaseII試験。
A randomized, phase II trial of two dose schedules of carboplatin/paclitaxel/cetuximab in stage IIIB/IV non-small-cell lung cancer (NSCLC).Ann Oncol 2009 Feb 2(Epub ahead of print)
背景:
Stage IIIB/IVのNSCLC患者を対象に、毎週のcetuximabと
paclitaxel/carboplatin(PC)の2種類の異なる投与スケジュールとの
併用療法の効果と安全性を検討する第II相試験を実施した。
方法:
前治療歴のないstage IIIB/IV NSCLC患者168例を
arm A:cetuximab(400mg/m2、day 1、以後毎週250mg/m2)
+paclitaxel(225mg/m2)/carboplatin(AUC 6)、day 1、3週毎
または
arm B:cetuximab(400mg/m2、day 1、以後毎週250mg/m2)
+paclitaxel(100mg/m2)day 1、8、15、3週毎
およびcarboplatin(AUC 6)day 1、4週毎
に無作為に割りつけた。
治療は最大4サイクル継続した。4サイクル治療後に、CR、PR、
および安定の得られた患者に対しては、cetuximab 250mg/m2/週を
PDまたは許容不能の毒性がみられるまで投与できることとした。
プライマリエンドポイントはPFSである。
結果:
arm AおよびBのPFS中央値は、それぞれ4.7か月および4.3か月
(6か月PFS生存率27.3%対30.9%)であった。
OSの中央値は、それぞれ11.4か月および9.8か月で、
推定1年生存率はそれぞれ29.6%および25%であった。
忍容性は良好で、最も多く見られた毒性は皮疹および血液毒性であった。
今回の試験は、予め設定した6か月PSF生存率35%の目標基準には
達しなかったが、cetuximab+PCの2種の併用スケジュールとも実施可能で、
効果も同等であった。
by otowelt
| 2009-03-21 01:29
| 肺癌・その他腫瘍