気管支鏡のリスクを詳しく説明することは不安リスク上昇

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そりゃそーだろ、という論文。
これはどういう意図で発表されたのか…?

Randomised controlled trial of the effect of standard and detailed risk disclosure prior to bronchoscopy on peri-procedure anxiety and satisfaction. Thorax 2009;64:224-227

背景:
 気管支鏡にはリスクがつきものだが、
 このリスクを詳しく説明した場合と、
 シンプルに説明した場合で
 不安や満足度に違いが出るかを研究する。

方法:
 100mm不安ビジュアルアナログスケール(VAS)および
 改訂アムステルダム術前不安スケール(APAIS)が主な評価ツールである。
 気管支鏡のあとには、さらに満足度のアンケートもおこなわれた。

結果:
 142人の患者のうち、122人(86%)がスタディを完遂した。
 (平均年齢57.8歳、53%が男性)
 よりリスクを詳しく説明された場合、シンプルな場合においてより不安度が増した。
 それはVASでもAPAISでも同様であった。
 VAS (平均14.0(95%CI 10.1-17.9) vs 平均2.5(95%CI 1.4-6.4), p<0.001)
 APAIS (1.73 (95%CI 1.19-2.26) vs 0.57 (95%CI 0.05-1.10), p<0.001)
 詳しくリスクを説明された患者は、詳しすぎる説明に
 気管支鏡に対する不安が強くなった。

結論: 
 より詳しい気管支鏡のリスクの説明によって、患者の不安が強くなる。
by otowelt | 2009-03-25 02:56 | 気管支鏡

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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