欧米でエルロチニブが適応申請
2009年 03月 25日
2009年3月19日、進行非小細胞肺癌患者(NSCLC)で、
プラチナ抗癌剤の1st-line療法を受け、
進行しなかった患者を対象に、EGFR-TKIの
エルロチニブ(タルセバ)をメンテナンスに利用することを
求めた適応拡大申請を、アメリカでOSI社、
スイスHoffmann-La Roche社が行ったと発表した。
明らかに2008年11月のSATURN試験の結果を受けたもの。
詳細はまだ報告されていないが・・・・
SATURN試験は新しい試験だが、エルロチニブ(タルセバ)の臨床試験
としては、TRUST試験とBR21試験はおさえておきたいところ。
BR21→TRUSTという流れをくんでいる。
●SATURN試験
3B~4のNSCLCで、少なくとも4サイクルのプラチナ製剤による
初回治療の後、進行していない患者を対象に、メンテナンスとして
エルロチニブ(タルセバ)、あるいはプラセボを投与した。
889人が登録し、プライマリエンドポイントはPFS。
このPFSで有意差が出ている。
春頃に報告される予定。
●TRUST試験 phase4
TRUST試験は、ステージ3B/4の非小細胞肺癌患者で、
化学療法や放射線療法が無効あるいは不適切だった患者を対象とし、
エルロチニブ1日150mgを病気進行または強い毒性が現れるまで投与した。
2008年2月27日までに分析が可能だった6809人の年齢中央値は63歳、
男性が61%を占めた。腺癌が55%、扁平上皮癌は24%、大細胞癌は6%。
現在喫煙習慣のある人および過去に喫煙経験のある人(以下、喫煙者)が69%、
非喫煙者は全体の31%だった。
奏効率が最も高かったのは「女性・非喫煙者・非扁平上皮癌」のグループ(1216人)
で27%、最も低かったのは「女性・喫煙者・扁平上皮癌」(162人)の4%であり、
「奏効率は非喫煙者・非扁平上皮癌で高く、喫煙者・扁平上皮癌で低い傾向がある」。
PFS中央値は全体では14.3週(6807人)、サブグループでは
「女性・非喫煙者・非扁平上皮癌」のグループ(1364人)が最も長く30週、
続いて「男性・非喫煙者・非扁平上皮癌」(510人)が25.3週、
「男性・喫煙者・扁平上皮癌」(1205人)が12.4週で、
「男性・喫煙者・非扁平上皮癌」(2292人)が11.9週、
「女性・喫煙者・扁平上皮癌」(204人)が10.3週、
最も短かったのは「男性・非喫煙者・扁平上皮癌」(101人)の10.1週だった。
●BR.21試験 phase3 (N Engl J Med 2005; 353:1739-1741,)
ファーストラインまたはセカンドラインでの化学療法施行後に
増悪が見られたNSCLC731名が参加し、エルロチニブ単剤と
プラセボとを比較。
エルロチニブ群における生存期間中央値は6.7ヶ月で、
プラセボ群では4.7ヶ月だった。1年経過時点で、
エルロチニブ群では31%、プラセボ群では22%が生存。
by otowelt
| 2009-03-25 06:01
| 肺癌・その他腫瘍