敗血症における未分画ヘパリンは死亡率改善せず (HETRASE試験)


ICU患者にヘパリンを持続的に流すことで、
DVTの予防やら死亡率改善やら・・・・という議論をみたことがあるが
とりあえず、あまり意味はないぞというインパクトを与える論文ではある。
エンドポイントの設定が、DVT関連なら少し説得力があるのだが・・・。

Unfractioned heparin for treatment of sepsis: A randomized clinical trial (The HETRASE Study).
Critical Care Medicine:Volume 37(4)April 2009pp 1185-1196


目的:
 第一の目的は、多臓器不全スコアの改善にヘパリンに効果が
 あるかということを調べることである。第二の目的は、ヘパリンの効果が28日死亡率
 に影響を及ぼすかということを調べるためである。
 サブグループ解析として、感染部位、
 Acute Physiology and Chronic Health Evaluation II score
 MOD score、D-ダイマーで解析。

デザイン:
 単一施設無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験。
 低用量持続未分画ヘパリン(UFH)投与を敗血症治療に用いる。

セッティング
 550床 University Hospital and referral center in Medellín, Columbia.

患者:
 319人の患者で救急部より敗血症で入院になった患者

介入:
 プラセボあるいは未分画ヘパリン(500単位/時間を7日間)を用いた

結果:
 生存退院までの期間は、プラセボで平均12.5日、ヘパリン群で平均12日。
 (p = 0.976)
 MODスコアの改善は、両群とも1日あたり0.13~0.11の改善を認めた。
 (p = 0.240)
 28日死亡率は、プラセボ群で16%、ヘパリン群で14%(p = 0.652)。
 サブグループ解析でも未分画ヘパリンの28日死亡率の低下は認めなかった。
敗血症における未分画ヘパリンは死亡率改善せず (HETRASE試験)_e0156318_16425428.jpg
 
結論:
 わたしたちの研究では、敗血症における未分画ヘパリンは実現可能かつ
 安全な介入と考えられる。しかしながら、この腱きゅでは
 この薬剤を用いることによる利益は証明できなかった。
by otowelt | 2009-04-04 23:40

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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