2009年 07月 29日 ( 2 )

クリプトコッカス中枢神経感染症に対するデキサメサゾンの使用


クリプトコッカスの症例をみた時、
髄膜炎を起こしていないかどうかに気を配る必要がある。
中枢神経感染を起こしていると判断された場合、
5-FCとアムホテリシンBで初期治療するわけだが、
ステロイドを使うことに関しては基本的に推奨はされていない。

CIDのbrief reportで、クリプトコッカス髄膜炎で
デキサメサゾンを使用して軽快した症例報告があった。

Clinical outcomes were reviewed for 4 patients with Cryptococcus gattii central nervous system infection who received dexamethasone for the treatment of persisting mental status abnormalities and focal lesions on brain scan despite culture‐negative cerebrospinal fluid and the management of intracranial pressure. Favorable clinical responses were observed in 3 patients. Although corticosteroids are not recommended for the treatment of cryptococcal meningitis, these observations suggest that dexamethasone should be further evaluated in this subset of patients.

Dexamethasone in Cryptococcus gattii Central Nervous System Infection
Clinical Infectious Diseases 2009;49:591–595


クリプトコッカスと普通に指す場合、Cryptococcus neoformansを指すが、
Cryptococcus neoformansは二種類ある。
1.Cryptococcus neoformans ; var. neoformans
2.Cryptococcus neoformans ; var. gattii である。
この症例報告されているgattiiは熱帯のユーカリ樹から分離される。

by otowelt | 2009-07-29 12:04 | 感染症全般

TMM-M-IgGtiterとapolar‐GPLは肺MAC症診断に有用

TMM-M-IgGtiterとapolar‐GPLは肺MAC症診断に有用_e0156318_11521994.jpg
ガフキー陽性(今はもはやガフキーという
言葉は用いないが)ということで、
入院になる患者さんは、まずは
肺結核症として扱われる。
もちろん、非結核性抗酸菌症の可能性も
考えられるわけだが、PCRが出るのに
数日の時間がかかってしまう。

入院時に結核か非結核かわかるにこしたことはないのは確かである。

CIDより、TMM-M-IgG-titerとapolar‐glycopeptidolipidについての
論文が出ていた。

IgG抗体といえば、抗TBGL抗体が結核の世界では有名であり
当院でもしばしば測定することが多い。
TBGL (Tuberculous Glycolipid)に対するIgG抗体である。
(結核菌の特徴的な細胞表層成分コードファクター(TDM, trehalose dimycolate)
 を主成分にtrehalose 6-mycolate, 2,3-diacyltrehalose, phenolic glycolipid
 などの抗原を加えたもの)
TBGL抗体はあまり有用とは言えず、ツ反との相関関係はないとする報告も多い。

Serodiagnostic Contributions of Antibody Titers against Mycobacterial Lipid Antigens in Mycobacterium avium Complex Pulmonary Disease.
Clinical Infectious Diseases 2009;49:529–535


背景:
 肺結核の頻度は減少しているが、免疫正常のMycobacterium avium complex (MAC)
 患者は増えている。感染するものではないが、肺MAC症はできれば早急に
 診断をつけたいものである。
 私たちは、血清IgG抗体のタイターを用いて、MACの診断に用いることができるか
 どうかを検討した。

方法:
 65人の肺MAC症と思われる患者の血清検体を使用した。
 15人が肺MAC症であり、25人が肺結核、10人がM.kansasiiであった。
 さらに100人の健常人を比較対象に用いた。
 彼らのトレハロースモノマイコレート(trehalose monomycolate)に対する
 IgG抗体タイター (TMM‐M)およびapolar‐glycopeptidolipid (GPL)と
 脂質抗原を用いた。

結果:
 肺MAC症の患者において、TMM‐M抗体価、apolar‐GPLは有意に
 コントロールより高かった。TMM-M抗体価カットオフ値0.27としたとき
 感度89.2%、特異度97.0%であった。
 apolar‐GPLにおいてはカットオフ値0.33としたとき
 感度89.2%、特異度94.0%であった。

結論:
 TMM‐Mに対するIgG抗体タイターおよびapolar‐GPLは
 肺MAC症の診断に有用である。

by otowelt | 2009-07-29 11:51 | 抗酸菌感染症