2009年 09月 16日 ( 2 )

プロカルシトニンを用いたアルゴリズムの方が、抗菌薬曝露期間と副作用が少ない


プロカルシトニンはカルシトニンの前駆蛋白として
甲状腺のC細胞において生成されるアミノ酸116 個よりなるペプチドである。
細菌感染症においては、TNF-αなどの炎症性サイトカインにより誘導され、
肺や小腸を中心として産生され、血中に分泌されるとされている。

プロカルシトニンは、細菌感染とそれ以外を区別するのに有用とされているが
それを用いたアルゴリズムが、抗菌薬曝露期間の短縮および副作用に関して
さらに有用であるとの報告がJAMAからなされた。

Effect of Procalcitonin-Based Guidelines vs Standard
Guidelines on Antibiotic Use in Lower Respiratory Tract
Infections: The ProHOSP Randomized Controlled Trial
JAMA. 2009;302(10):1059-1066 (doi:10.1001/jama.2009.1297)


背景:
 これまでの小さな臨床試験では、プロカルシトニン(PCT)アルゴリズムは
 下気道感染症(LRTIs)において抗菌薬使用を減らすといわれている。

目的:
 PCTアルゴリズムが、副反応の増大なしに抗菌薬曝露を減らすことができるのか
 どうかを検証する。

方法:
 1359人のLRTIs患者において、2006年10月から2008年3月まで
 ランダム化しておこなった。
 すなわち、PCTアルゴリズム(事前に設定したカットオフ値によって
 抗菌薬の中止と開始を指示するもの)と通常の方法(対照群)にランダム化。
 主要転帰は、副反応の非劣性、ICU入室、疾患特異的合併症、
 30日以内感染再発とした。

結果:
 全adverse outcome率は、PCTアルゴリズムと対照群では同等であった。
 (15.4%[n=103] vs 18.9%[n=130] difference,−3.5%;95%CI,−7.6% to 0.4%)
 抗菌薬曝露の平均期間はPCTの方が短かった。
 (5.7 vs 8.7 days; relative change, −34.8%; 95% CI, −40.3% to −28.7%)
 サブセット解析における抗菌薬曝露平均期間は、それぞれ以下の通り。
 CAP(n=925, 7.2vs 10.7 days; −32.4%; 95% CI, −37.6% to −26.9%)、
 COPD急性増悪(n=228, 2.5 vs 5.1 days;−50.4%; 95% CI, −64.0% to −34.0%)
 急性気管支炎(n=151, 1.0 vs 2.8 days; −65.0%; 95% CI, −84.7% to −37.5%)。
 抗菌薬関連副反応はPCTアルゴリズム群の方が少なかった。
 (19.8% [n=133] vs 28.1% [n=193];
  difference, −8.2%; 95% CI, −12.7% to−3.7%)
プロカルシトニンを用いたアルゴリズムの方が、抗菌薬曝露期間と副作用が少ない_e0156318_1384368.jpg


結論:
 LRTIs患者において、PCTアルゴリズムは通常の抗菌薬使用群と
 adverse outcomesが同等で、かつ抗菌薬曝露およびそれによる副反応が少ない。
 
 

by otowelt | 2009-09-16 12:12 | 感染症全般

6分間歩行試験後の心拍数回復は、IPFにおける予後因子である

IPFにおける肺機能は特発性肺線維症の有力な予後因子ではないとされている。
(FVCの10%の低下がない例でも43%が死亡していた)
何が予後因子になるかといえば、たとえば6分間歩行。
これによる89%以下のSPO2の低下は予後をよく予想できたというエビデンスがある。
       Ann Intern Med. 2001; 134: 136-151

CHESTに心拍数のリカバーの異常が、予後不良因子であるとの報告がなされた。
ちなみに6分間歩行試験の略称は、6MWTが正しい。

Heart Rate Recovery After 6-Min Walk Test Predicts Survival in Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis
CHEST September 2009 vol. 136 no. 3 841-848


背景:
 IPF患者において、6分間歩行試験(6MWT)1分後の心拍数リカバー(HRR1)
 および2分後の心拍数リカバー(HRR2)が死亡リスクの予後因子になりうるか
 どうかを検証した。

方法:
 2003~2008年に、76人のIPF患者において6MWTを行い、検証した。

結果:
 カットオフ値はHRR1=13心拍、HRR2=22心拍とした。
 異常HRR1は、以下のものと関連。
 CO拡散能(OR 0.4 per 10% predicted; 95%CI 0.2 to 0.7; p=0.003)
 右室収縮期圧>35 mmHg(経胸壁エコーによる)
 (OR, 12.7; 95% CI, 2.0 to 79.7; p = 0.01)
 正常なHRRに比べて異常HRRは明らかに生存率が低かった。
 (HRR1, p=0.0007; HRR2, p=0.03)
 特に異常HRR1は死亡リスクの有力な予後因子
 (HR, 5.2; 95% CI, 1.8 to 15.2; p = 0.004).

結論:
 6MWT後の異常HRRは、IPF患者における死亡に関する有力な予後因子である。
 

by otowelt | 2009-09-16 09:49 | びまん性肺疾患