2010年 04月 06日 ( 2 )

整形外科手術後にステープルを用いて創を閉じると表層創感染リスクが高まる

ステープラーは個人的に好きではあるが、どうやら
利便性はリスクに逆行するようだ。
整形外科手術後にステープルを用いて創を閉じると表層創感染リスクが高まる_e0156318_16413384.jpg
Sutures versus staples for skin closure in orthopaedic surgery: meta-analysis
BMJ 2010;340:c1199


背景:
 整形外科手術患者の入院期間を短くするため、適切な創閉鎖法選択が重要である。
 創傷離開や創感染などの合併症リスクは低い方法が理想だが、
 創閉鎖のための最適な方法がどれかは明らかではない。

方法:
 整形外科手術後の創閉鎖にステープルを用いた場合と縫合糸を使用した場合の
 転帰を比べた臨床試験を対象にメタ分析を行い、表層創感染リスクを評価。
 データベース(Medline、CINAHL、AMED、Embase、Scopus、コクラン)
 などに1950年~2009年9月に登録された研究の中から、創閉鎖にステープル
 または縫合糸を使用し、その後の臨床転帰を比較した試験を抽出。

結果:
 6件の論文がヒット。
 6件の試験の対象となった計683人の患者のうち、332人に縫合糸、
 351人にステープルが用いられていた。
 縫合糸またはステープルは10~16日で除去。追跡期間の平均は95日。
 ステープル群の表層創感染リスクは、縫合糸群のおよそ4倍で、相対リスクは3.83
 (95%CI1.38-10.68、p=0.01)であった。
 サブグループ解析として股関節部の手術に限定すると、ステープル群のリスクは
 縫合糸群のおよそ5倍。相対リスクは4.79(95%CI1.24-18.47、p=0.02)。
 膝関節の手術後については、ステープル群と縫合糸群の間で創感染発生率に
 有意差はなかった(p=0.20)。
整形外科手術後にステープルを用いて創を閉じると表層創感染リスクが高まる_e0156318_16423587.jpg
結論:
 整形外科手術後にステープルを用いて創を閉じると表層創感染リスクが高まる。
 特に股関節部の手術を受けた患者でリスクは大きい。

by otowelt | 2010-04-06 16:41 | 感染症全般

緊急挿管には何を使う???

緊急挿管で筋弛緩が必要な場合、
ロクロニウムを使っている施設が多いだろうか?
緊急挿管が必要な患者は、誤嚥、頭蓋内圧亢進を防ぐためRSIが必要となるが、
たとえばサクシニルコリンは効果発現が早く、半減期が短いため頻用されている。

緊急挿管には何を使う???_e0156318_8353181.jpg

ロクロニウムは水溶液で安定しているので、水溶液製剤として利用できる。
挿管時には0.6~0.9 mg/kg、追加ボーラスによる維持には0.1~0.2 mg/kg
持続注入初期の投与速度は7μg/kg/min。

Rocuronium versus succinylcholine for rapid sequence
induction intubation
Cochrane Database of Systematic Reviews, Issue 2, 2009


ではどちらかといえば、サクシニルコリンに軍配があがった感じになっている。
ただ、スガマデックスの登場によりロクロニウムの方が
使いやすいという意見が出てくるかもしれない。

最近ではどの医学雑誌もスガマデックスをとりあげている。
スガマデックスは用量依存性で、従来のコリンエステラーゼ阻害薬による
リバースに比べて作用は2分程度と大変早く、深い筋弛緩状態にあっても
確実にリバースが可能。特にロクロニウムに対する特異性が高い。
2mg/kg程度で十分だろうと考えられる。このスガマデックスリバースによって
Residual blockやrecurarisationの発生も防止できる。
ひいては術後の呼吸器系合併症を減らすことが可能である。

カンタンに挿管できると思って麻酔を導入したはいいが、挿管困難だったとき
すぐに拮抗できるというのは大きいことだと思う。
こういった使い方ができればサクシニルコリンの必要性は薄くなるかもしれない。
Sugammadex provides faster reversal of vecronium-induced neuromuscular blockade compared with neostigmine:a multicenter, randomized, controlled trial. Anesth Analg 2010;110:64-73
A randomized dose-response study of sugammadex given for the reversal of deep recuronium or vecuronium-induced neuromuscular blockade under sevoflurane anesthesia. Anesth Analg 2010;110:74

by otowelt | 2010-04-06 08:52 | 救急