2010年 04月 13日 ( 2 )

重症患者において、TRALI発症は長期生存率減少の独立因子である

Long-Term Survival and Quality of Life After Transfusion-Associated Pulmonary Edema in Critically Ill Medical Patients.
CHEST April 2010 vol. 137 no. 4 783-789


背景および方法:
 輸血関連急性肺障害(TRALI)と、輸血関連循環過負荷(TACO)は、
 重症患者においてはよく知られている合併症である。
 TACOとTRALIにしぼった短期間での死亡率のスタディはあるが
 長期間での生存やQOLを観察したものは知られていない。
 TRALIかTACOに陥った患者の生存とQOLを検証した。

結果:
 74のTRALIのケースで入院時、1年後、2年後死亡率をコントロールと比較。
 それぞれ、TRALI vs controlで43.2% vs 24.3% (P = .020)、
 63.8% vs 46.4% (P = .037) 、74.3% vs 54.3% (P = .031)。
 51人のTACOでは同様に、7.8% vs 11.8% (P = .727)、
 38.0% vs 28.0% (P = .371)、44.9% vs 38.8% (P = .512)であった。 
 TRALIは死亡率と有意に相関(HR 1.86; 95% CI, 1.19-2.93; P = .006)。
 TACOは相関しなかった。
 またTRALIもTACOもICUあるいは在院日数に相関。
重症患者において、TRALI発症は長期生存率減少の独立因子である_e0156318_1404035.jpg
結論:
 重症患者において、TRALI発症は長期生存率減少の独立因子である。
 TACOに関連性は認められない。

by otowelt | 2010-04-13 14:00 | 集中治療

世界貿易センターでの粉塵曝露により、その後の1 年間にFDNY救助隊員のFEV1は大きく低下

粉塵暴露災害における肺機能障害というのは意外に重要なのだと思った論文。

Lung Function in Rescue Workers at the World Trade Center after 7 Years
N Engl J Med 2010; 362 : 1263 - 72.


背景:
 2001年9月11日世界貿易センターへのテロ攻撃によって、
 ニューヨーク市消防局(Fire Department of New York City:FDNY)の
 数千人の救助隊員が粉塵に曝露され、隊員の肺機能はその後の1 年間で著しく低下。

方法:
 当時世界貿易センターで救助活動を行ったFDNY救助隊員を対象とし
 1秒量(FEV1)をスパイロメトリーを用いて測定。

結果:
 FDNY隊員13,954人のうち、計12,781人(91.6%)がこの研究に参加。
 質で選別されたスパイロメトリー測定値 61,746 件を対象とした。
 最初の1年間で、全例の平均FEV1は有意に低下しており、喫煙歴のない消防隊員は
 喫煙歴のないEMS隊員に比べて大きく低下していた(P<0.001)。
 FEV1はその後 6 年間でほとんどあるいはまったく回復せず、
 FEV1 低下の年平均値は、消防隊員で25 mL/年、EMS 隊員で40 mL/年。
世界貿易センターでの粉塵曝露により、その後の1 年間にFDNY救助隊員のFEV1は大きく低下_e0156318_11374611.jpg
結論:
 世界貿易センターでの粉塵曝露により、その後の1 年間にFDNY救助隊員の
 FEV1は大きく低下した。全体的にこの低下は持続し、その後の6年間で回復しない。

by otowelt | 2010-04-13 11:33 | 救急