2010年 04月 20日 ( 3 )

マイナーNTM特徴覚え書き

いつまでたっても覚えられないので、
表を作って覚えることにした
マイナーNTM特徴覚え書き_e0156318_1644291.jpg

by otowelt | 2010-04-20 16:26 | 抗酸菌感染症

SWOG9900試験:早期NSCLCの術前化学療法はOSとPFSが良好であった(ただ術後化学療法の方がすぐれる?)

肺癌の世界における術後化学療法の有効性が示されたのは、結構最近である。
これは、2003年のASCO以降の報告が相次いだことによる。
きっかけになったのは、The IALT Collaborative Groupの報告である。
I期~III期の非小細胞肺癌に対するcisplatin併用化学療法によって5年生存率が
4.1%改善したというものだ。そのIALTのあとも、NCI-C JBR.10、CALGB-9633、
ANITA・・・など統計学的に有意な生存率改善がみられる術後化学療法の報告が相次いだ。

じゃあ術前化学療法はダメなのか、と問われると議論の余地がある。
結論的には、EBMは術後化学療法を推奨している。理由は術前化学療法における
手術の合併症と術後死亡率の高さと考えられる。
術前化学療法では、NATCH試験とLU22試験が有名である。
SWOG9900試験:早期NSCLCの術前化学療法はOSとPFSが良好であった(ただ術後化学療法の方がすぐれる?)_e0156318_14301253.jpg
今回JCOに掲載されているSWOG9900試験は、術前化学療法にカルボプラチン+
パクリタキセルを使用した過去の論文データを正式に公表したものである。

Surgery With or Without Preoperative Paclitaxel and Carboplatin in Early-Stage Non–Small-Cell Lung Cancer:Southwest Oncology Group Trial S9900, an Intergroup, Randomized, Phase III Trial
J Clin Oncol 2010 Mar 15(Epub ahead of print)


背景:
 早期非小細胞肺癌(NSCLC)患者の予後は完全切除ができた場合でも不良である。
 これまでに行なわれた試験で切除可能NSCLCに対する術前(導入)化学療法は
 実施可能であり、有望な生存データも示されている。本無作為第III相試験では、
 早期NSCLC患者において術前パクリタキセル+カルボプラチン療法後の手術施行
 と手術単独の場合のOSの比較を試みた。

方法:
 Stage IB~IIIA NSCLC(肺尖部胸壁浸潤がんおよびN2症例を除く)の適格患者
 を手術単独群またはパクリタキセル(225mg/m(2))+
 カルボプラチン(AUC 6)3サイクル後の手術施行群に無作為に割りつけた。
 プライマリエンドポイントはOS、セカンダリエンドポイントはPFS、
 腫瘍縮小効果および毒性である。

結果:
 試験は患者354例を登録した時点で、他の試験により術後化学療法の生存に
 対する有用性が報告されたため早期に終了となった。OS中央値は
 手術単独群41ヵ月、術前化学療法群62ヵ月
 (HR 0.79;95%CI 0.60-1.06;p=0.11)、PFS中央値はそれぞれ
 20ヵ月と33ヵ月(HR 0.80;95%CI 0.61-1.04;p=0.10)であった。
 化学療法の奏効率は41%であった。予期しない毒性は認められなかった。
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結論:
 今回の試験は術後化学療法を支持する明確なエビデンスが示されたため早期に
 終了となった。OSとPFSは術前化学療法群で良好であったが統計的有意差には
 達しなかった。現状においては、早期NSCLCに対しては術後化学療法のほうが
 より強固なエビデンスが存在するというべきである。

by otowelt | 2010-04-20 11:58 | 肺癌・その他腫瘍

肺類上皮血管内皮腫(pulmonary epithelioid hemangioendothelioma)

肺多発末梢病の変鑑別疾患としてよく挙げられるので、知っておきたい。

●概要
類上皮血管内皮腫(epithelioid hemangioendothelioma:EHE)が肺に発現
した場合、pulmonary epithelioid hemangioendothelioma(PEH)という。
元来intravascular bronchioloalveolar tumor(IVBAT)として提唱され
肺をはじめ、肝臓、骨などにも認められる稀な悪性度の低い腫瘍性疾患である。
1975年、Dail らにより、硝子化と血管内進展を特徴とする細気管支肺胞腫瘍が
新たにIVBATという名称で提唱され、後にこの腫瘍が血管内皮細胞由来で
あることが解明された。1982年にWeiss らにより血管から発生する
軟部組織の低悪性度の腫瘍がEHEとして提唱され、後に肺に発生したEHEと
IVBAT が同一疾患であると考えられた。一般に個々の腫瘍は直径0.3cm~2cm
程度の大きさで、中心部は硝子化し周辺部の腫瘍組織は肺胞壁をのKohn孔を
通して肺胞腔内に突出し肺胞腔内を充填するような像を認める。
Corrinらが電子顕微鏡下にWeibel-Palade body を見いだしたこと、
Weldon-Linne らが腫瘍細胞内に血管内皮細胞により合成される第VIII 因子
関連抗原を証明したことによって、本疾患は血管内皮細胞由来の腫瘍と考えられる。
                        Am J Pathol. 1975;78:6a-7a.
                        Cancer. 1982;50:970-981.
                        Cancer. 1983;51:452-464.
                        J Pathol 1979 ; 128 : 163―167.
                        Arch Pathol Lab Med1981 ; 165 : 174―179.


●疫学
年齢分布は15~74 歳、平均年齢41.2 歳と若年女性に多い傾向である。
様々な臓器に発生しうるが、肺と肝臓の報告例が多い。多臓器に発生することもある。
つまりは、血管内皮細胞の存在するところではどの臓器にも発生する可能性がある。

●症状
本邦のPEH は自覚症状が少なく、検診などで偶然に発見されることが多い。
72.9%が無症状にて発見されている。欧米での報告では息切れ、咳嗽、胸痛
といった有症状での発見の頻度が高くなっており、無症状での発症は
半数以下にとどまるとする報告もある。
                   Thorax 1999 ; 54 : 560―561.

●診断
肺病変の場合、気管支鏡での診断は困難であり、大部分の症例で開胸肺生検
もしくは胸腔鏡下肺生検が必要とされている。この理由として
本疾患では個々の結節の大きさが5~15 mm 程度と小さなものが多く
病変への到達が困難であることが考えられる。

●画像
画像的には多発性の辺縁がはっきりした腫瘤陰影を呈することが多く、
空洞や石灰化所見を認めることは少ない。
また腫瘤同士の癒合や索状構造で連絡して数珠状を呈することがあり
この所見は他の多発結節病変では認めることが少ない。
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●病理
本疾患の病理学的な特徴としては血管内皮細胞マーカーである
第VIII 因子関連抗原およびCD31、CD34 に陽性であることがあげられる。

●治療
確立された有効な治療法はない。完全切除可能で全身状態が良好な症例なら
外科的切除を行うが、一般的には対症療法で経過観察されていることが多い。

●予後
一般に進行は非常に緩徐であるものが多いが、
診断確定からの予後としては6 か月から10 年と症例により大きな差がある。
平均4.6 年という報告がある。
                 日呼吸会誌.2003;41:144-149.
                 Cancer 1983 ; 51 :452―464.

by otowelt | 2010-04-20 08:56 | レクチャー