2010年 05月 20日 ( 2 )

非喫煙者にみられた小細胞肺癌の2例

今月のJTOに、「非喫煙者にみられた小細胞肺癌の2例」という報告が掲載された。

Small Cell Lung Cancer in Never Smokers Report of Two Cases
Journal of Thoracic Oncology • Volume 5, Number 5, May 2010


受動喫煙は小細胞癌も非小細胞癌のいずれもの発生原因となりうる。
                 Lancet Oncol 2008;9:657– 666.
いくつかのスタディでは、癌遺伝子と癌抑制遺伝子が小細胞癌に関与していると
わかっている。具体的にはmyc, EGFR, c-raf, c-fms, retinoblastoma, p53である。
N-myc変異は小細胞癌を含む神経内分泌腫瘍に強く関連していることがわかっている。
                  Proc Natl Acad Sci USA 1986;83:1092–1096.
EGFR遺伝子変異は、非小細胞肺癌でよくみられるものだが、小細胞癌にも起こりうる。
あるケースレポートでは、EGFR陽性小細胞肺癌が72歳女性の非喫煙者に認められた。
                   Ann Oncol 2006;17:1028 –1029.
興味深いことに、gefitinibは、低いレベルではあるが、レセプターを発現している
小細胞肺癌のセルラインにおいてEGFRシグナルを阻害することができた。
これはすなわち、EGFR-TKIがEGFR遺伝子変異のある小細胞肺癌の治療
オプションになりうることを意味している。
他のケースレポートでは、2例の非喫煙者の小細胞肺癌でEGFR遺伝子変異が
認められた。
                    N Engl J Med 2006;355:213–215. 
喫煙したことのない小細胞肺癌に起こるEGFR遺伝子変異についてはさらなる
スタディが必要になるであろう。
さらに、非喫煙者の強皮症患者において小細胞肺癌が起こったという報告もある。
小細胞肺癌と強皮症による間質性肺炎に関連性があるのかもしれない。
                    Intern Med 2005;44:315–318.

by otowelt | 2010-05-20 05:22 | 肺癌・その他腫瘍

移植後の侵襲性アスペルギローシスの死亡率の検討

Factors Associated with Mortality in Transplant Patients with Invasive Aspergillosis
Clinical Infectious Diseases 2010;50:1559–1567


背景:
 侵襲性アスペルギローシス(IA)は、造血幹細胞移植(HSCT)や固形臓器移植(SOT)
 レシピエントにおいて重要な感染症である。
 このスタディの目的は、移植患者におけるIAの死亡率を評価する。

方法:
 23のイギリスの医療センターにおいて、2001年3月から2005年10月までの
 移植関連感染症サーベイランスネットワーク登録患者で検討。
 IAの症例は2006年3月までプロスペクティブに観察。
 エンドポイントは、12週における全死亡率とした。

結果:
 642例のIAと思われる症例が登録され、317人(49.4%)が死亡した。
 全死亡率は、HSCT患者の方が、SOT患者よりも多かった。
 (239 [57.5%] of 415 VS 78 [34.4%] of 227)(P <.001)
 HSCTにおける予後不良の独立因子は、好中球減少症、腎不全、肝不全、
 早期IA発症、確実なIA診断例、メチルプレドニゾロン使用例であった。
 対して、白人症例では死亡リスクが少なかった。
 SOT患者において、肝不全、栄養不良、中枢神経疾患は予後不良因子であった。
 プレドニゾン使用は死亡リスク減少と関連。
 HSCTあるいはSOTにおいて、抗真菌治療を行われた患者では
 アムホテリシンB使用は死亡リスク上昇と関連していた。
移植後の侵襲性アスペルギローシスの死亡率の検討_e0156318_18404222.jpg
結論:
 複数の因子が移植患者におけるIA症例の死亡リスク上昇と関連している。


アスペルギルスを相手にする医者としては、
NEJM2002年の論文がボリコナゾールを押し上げた論文であることを
ぜひとも知っておきたい。

Voriconazole versus amphotericin B for primary therapy of invasive aspergillosis.
New Engl J Med 2002; 347(6):408–415.


同時に、アムホテリシンBによる初期治療ではIAにおける死亡リスクが
上昇することも示唆されており、今回の論文も同様の内容である。

今回のCIDの論文では、SOTにおいてカスポファンギン死亡リスクが上昇しているが
これについては筆者は懐疑的な見解を出しているので、結論は控えたいところである。
サルベージではボリコナゾール+カスポファンギンでも個人的にはよいと考えている。

by otowelt | 2010-05-20 02:14 | 感染症全般