2010年 06月 07日 ( 2 )

ASCO 2010速報:c-Met阻害薬ARQ197 phase II試験

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c-Met遺伝子の増幅がみられる非小細胞肺癌は予後不良とされ、
EGFR阻害剤への抵抗性が考えられている。開発されたARQ197は
c-Metによるシグナル伝達経路を阻害する新規薬剤として注目されており、
同剤以外にも複数のc-Met阻害剤の開発が進められているのが現状である。

第一三共のリリース。
http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/003706.html

第一三共・ArQuleがphase II試験をおこなっている
c-Met阻害剤:ARQ197について、非小細胞肺癌を対象とした
phase II試験結果が2010年6月5日ASCOで発表された。
Texas Southwestern Medical Center の血液腫瘍学部門長
John H.Schiller博士が発表した。

Novel ARQ 197 Targeted Therapy Holds Promise for Patients with Locally Advanced or Metastatic Non-small Cell Lung Cancer

エルロチニブと併用してPFSが延長したはいいが、
エルロチニブ単独群との有意差にまでは至らなかったという報告であった。
こ試験は6国33施設で実施され、EGFR阻害剤による
治療経験がない、少なくとも1種類の化学療法レジメン施行後に進行した
非小細胞肺癌患者167人を対象に、エルロチニブ+ARQ197併用投与群84人と
エルロチニブ+プラセボ投与群83人を比較したものである。
プライマリエンドポイントであるPFSの中央値は、プラセボ群で9.7週だったが
ARQ 197群は16.1週間と延長した。しかし、統計学的に有意差はなかった。
OS中央値は、プラセボ群29.4週でARQ 197群で36.6週と延長したが、
これも統計学的有意差はなかった。
しかしながら、非扁平上皮癌の患者117人に限定すると、PFSの中央値は
プラセボ群9.7週に対してARQ 197群で18.9週、OSの中央値は
プラセボ群29.4週に対してARQ 197群で43.1週と、有意な延長がみられた。
EGFR wild type、KRAS mutationの群に対して、有効性が高いと考察された。

統計学的に有意ではないが、思ったよりもかなりの延長ではないだろうか?
毒性プロファイルも差がないというので、今後c-Met阻害薬の期待も高まる。

by otowelt | 2010-06-07 14:13 | 肺癌・その他腫瘍

プライマリセッティングでSIMV-PSはA/Cと比較して臨床アウトカムは同等

当院の人工呼吸器はBP840であるが、BILEVELだけでなく
A/CもSIMVももちろん備えている。A/Cは、Assist/Controlの略である。
自発呼吸がない場合は大差ないが、基本的にA/Cの方がstrictである。

Assist(補助換気):自発吸気をトリガーして吸気が開始されるが、
 換気量(吸気圧)、吸気フロー、吸気終了のタイミングは人工呼吸器が決定。
Control(調節換気):吸気の開始、換気量(吸気圧フロー)、吸気終了の
 タイミングをすべて人工呼吸器が決定する。
SIMV:自発呼吸をトリガーして補助換気を行うが、自発呼吸がない場合は
 A/Cの調節換気と同じ換気となる。 


SIMV+PSとA/Cの比較試験がCHESTで出ていた。
当然、自発がない患者にSIMVを選ぶことは基本的にないわけだが、
そういった治療選択バイアスは除去されているらしい。
統計学に明るくないので、その解析アルゴリズムはよくわからない。

Outcomes of Patients Ventilated With Synchronized Intermittent Mandatory Ventilation With Pressure Support; A Comparative Propensity Score Study
CHEST 2010; 137(6):1265–1277


背景:
 1つの呼吸モードが他のモードに比べて優位かどうかを検討した
 データは少ない。われわれは、SIMV-PSとA/Cを換気のプライマリー
 セッティングとして使用した場合の比較をおこなった。

方法:
 23の国の349のICUでおこなわれた。
 層別解析のなされた傾向スコアが350人のSIMV-PS患者と1228人のA/C患者
 に適用された。プライマリエンドポイントは、院内死亡率とした。

結果:
 ロジスティック回帰モデルでは、患者は北米ではSIMV-PSを受けやすく、
 重症度はやや低めで、術後あるいは外傷後の人工呼吸器装着である傾向
 があった。SIMV-PSは、喘息あるいは昏睡の場合、また敗血症や
 心不全といった合併症が人工呼吸器管理中に起こるような場合には
 選ばれにくかった。層別による傾向スコアで、われわれは院内死亡率に
 有意差を見出すことができなかった。
 傾向スコアを調節した場合にも、SIMV-PSの院内死亡率の寄与は
 有意にはみられなかった。(OR, 1.04; 95% CI, 0.77-1.42;P=.78)

 ※エンドポイントは五分位数を用いて評価されている。
  百分位数がいわゆるパーセンタイルと考える方法。
  quintile 1は、SIMV-PSを最も受けにくい群、quintile 5が
  もっとも受けやすい群になる。
プライマリセッティングでSIMV-PSはA/Cと比較して臨床アウトカムは同等_e0156318_9495066.jpg
結論:
 治療割り付けバイアスがSIMV-PSにはあるものの
 SIMV-PSはA/Cと比較しても、臨床的なアウトカムに影響しない。

by otowelt | 2010-06-07 05:50 | 集中治療