2010年 07月 05日 ( 2 )

クラミドフィラ肺炎は肺癌のリスクを上昇させる

タイトルはクラミジア肺炎となっているが、現在ではクラミドフィラ肺炎である。
クラミジア肺炎は、基本的に新生児にしか起こらないと思っておいた方がよい。
成人呼吸器内科領域における、カリニ肺炎もクラミジア肺炎も過去の病名なので、
個人的には慣習的に使わないように意識している。
CHSP-60は発癌の分野で有名であり、産婦人科領域でもメジャーな言葉である。
日本語に直すと、クラミジア熱ショック蛋白質60と言うらしいが
個人的にはほとんど耳にしたことがない。

Chlamydia pneumoniae Infection and Risk for Lung Cancer
Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention May 25, 2010; doi: 10.1158/1055-9965.EPI-09-1261


背景:
 クラミドフィラ肺炎は肺癌のリスクがあるのではないかと示唆されており、
 microimmunoflourescence (MIF) IgGおよびIgA抗体と、
 Chlamydia heat shock protein-60 (CHSP-60) 抗体が関与していると
 考えられている。これはすなわち、慢性のクラミドフィラ感染と考えてよい。

方法:
 593の肺癌患者および671人のコントロールを登録。
 Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian Cancer Screening Trial
 (N=77464)から抽出した。
 コントロール群は、年齢、性別、ランダム化年、フォローアップ期間、喫煙歴を
 調整したもの。
 われわれは、C. pneumoniaeの血清学的診断のついた患者において
 抗体のタイターを測定 (C. pneumoniaeに対するIgGおよびIgA抗体、
 CHSP-60 IgG抗体)

結果:
 上記IgGおよびIgA抗体は肺癌リスクとは関連しなかった。
 (OR 0.88 、95%CI0.69-1.13 for IgG; OR0.98、95%CI 0.75-1.27 for IgA)
 それに対して、CHSP-60 IgG抗体は有意に肺癌リスクを上昇した
 (OR 1.30; 95% CI, 1.02-1.67)。また、タイター高値において肺癌のリスクと
 関連(P trend = 0.006)。

結論:
 CHSP-60 IgG抗体のタイター高値は、肺癌のリスクに関連する。
 C. pneumoniaeの肺における発癌が示された。

by otowelt | 2010-07-05 12:56 | 感染症全般

早期中心静脈カテーテル抜去はカンジダ血症に対して無利益

臨床的には
1.GNR、真菌などの血症
2.臓器障害・循環動態不安定
3.適切な治療後の菌血症持続
に関しては明らかにカテーテルを抜くべきだとされていた。
CRBSIガイドラインでは、CRBSIを疑った時、基本的に菌が検出されたとき
抜くことが可能であれば、CVCを抜くことが推奨されている。
Clin Infect Dis 2001;32:1249-1272
特に、歴史的にCandida血症の場合は言わずもがな、であった。

それを覆す論文がCIDから出た。842人のコホート試験であるが、
さてこの論文がガイドラインを動かすであろうか。
・・・・・・個人的にはCVC抜去をしないというのは、気持ち悪い。
カテーテルにバイオフィルムが・・・と想像しただけで抜きたくなる。

Early Removal of Central Venous Catheter in Patients with Candidemia Does Not Improve Outcome: Analysis of 842 Patients from 2 Randomized Clinical Trials
Clinical Infectious Diseases 2010;51:295–303


背景:
 カンジダ血症のある患者は、中心静脈カテーテル感染によることが多く
 これはカテーテル早期抜去が有効と考えられている。

方法:
 CVCの早期抜去(治療開始24~48時間以内)によるカンジダ血症(842人)の
 改善に関する2つの第III相試験のサブグループ解析をおこなった。
 登録基準は、カンジダ血症があること、16歳より上、CVCが診断時に入っている、
 1ドーズでもstudy drugが入っていること。
 6つのアウトカムが検証された。すなわち、治療成功、遷延するあるいは
 再発するカンジダ血症率、微生物学的に根絶するまでの時間、
 28日および42日のsurvival。
 
結果:
 単変量解析において、早期のCVC抜去は微生物学的な根絶あるいは
 カンジダ血症の遷延・再発を改善しなかった。しかしながら、
 治療成功およびsurvivlaには寄与した。
 しかしこれらのbenefitは、多変量解析ではなくなってしまった。
 すなわち、CVCの早期抜去は6つのアウトカムを満たさなかったことになる。

結論:
 コホートにおける842人のカンジダ血症の試験において
 CVCの早期抜去は、いかなる臨床的な利益ももたらさない。
 これらの見解は、現在のEBMを見直す必要性を提案する。

by otowelt | 2010-07-05 12:33 | 感染症全般