2010年 07月 07日 ( 2 )

大腿静脈酸素飽和度は、中心静脈酸素飽和度の代替としては不適切である可能性

中心静脈を鼠径から挿入した際、Scvo2の代わりとして静脈血液ガス分析を
出すことがあるが、これは実はあまりよくないらしい。
今回のCHESTからの論文。

Femoral-Based Central Venous Oxygen Saturation Is Not a Reliable Substitute for Subclavian/Internal Jugular-Based Central Venous Oxygen Saturation in Patients Who Are Critically Ill
CHEST 2010; 138(1):76–83


背景:
 中心静脈酸素飽和度 (Scvo2)は、混合静脈血酸素飽和度の
 サロゲートマーカーとして使用される。大腿静脈酸素飽和度もしばしば
 この代わりとして使われることがある。このスタディの目的は、
 重症患者において大腿静脈酸素飽和度が果たして混合静脈血酸素飽和度の
 代替として妥当なのかどうかを検証することである。

方法:
 重症患者における治療ルートの選択としてしばしば大腿静脈を確保することがある。
 これはScvo2とSfvo2を比較する試験である。
 患者は、大腿静脈とそのほかの中心静脈血をペアで採取された。
 血液サンプルは酸素飽和度と乳酸濃度が解析された。

結果:
 150の内科医がこのサーベイにレスポンスした。
 3分の1以上の内科医が大腿静脈からの挿入を重症患者の初期ルートとして
 選択していた。Scvo2とSfvo2の比較試験には39の患者が登録された。
 平均Scvo2とSfvo2は73.1%±11.6%、69.1%±12.9%であった( P=.002)。
 平均乳酸濃度は非大腿静脈、大腿静脈でそれぞれ2.84±4.0、2.72±3.2(P=.15)。

結論:
 このスタディでは、Scvo2とSfvo2のサンプルの酸素飽和度において有意差を
 認めた。Sfvo2はScvo2と完全に対応するものではないので、ルーチンで
 これを混合静脈血酸素飽和度の代替として使用すべきではない。

by otowelt | 2010-07-07 12:59 | 集中治療

AIDS+クリプトコッカス髄膜炎におけるリポソーム製剤アムホテリシンBは3mg/kg/dayで副作用少なく効果良好

最近の抗真菌薬のスタディとしては非常に話題になっている論文。
古典的な”臨床試験”といった感じのスタディで、わかりやすい。

重症の肺クリプトコッカスに4mg/kg/dayで使用して、乏尿を伴う
AKIに陥ったことがあり、個人的なトラウマになっている。(笑)

Comparison of 2 Doses of Liposomal Amphotericin B and Conventional Amphotericin B Deoxycholate for Treatment of AIDS‐Associated Acute Cryptococcal Meningitis: A Randomized, Double‐Blind Clinical Trial of Efficacy and Safety
Clinical Infectious Diseases 2010; 51(2):225–232


背景:
 クリプトコッカス髄膜炎に対して、アムホテリシンBは最も効果があると
 されている薬剤である。しかしながら、この薬剤の投与によって起こる
 副作用が問題となる。本試験は、二重盲検試験である。
 HAARTの前にAIDS患者+クリプトコッカス髄膜炎患者において、
 リポソーム製剤アムホテリシンBと通常のアムホテリシン製剤を比較する。

方法:
 アムホテリシンB 0.7mg/kg/day (n=87)、
 リポソーム製剤アムホテリシンB 3mg/kg/day (n=86)、
 リポソーム製剤アムホテリシンB 6mg/kg/day (n=94)に1:1:1に割り付け。

結果:
 効果は3群とも同等であった。点滴による反応は、
 通常のアムホテリシンBよりリポソーム製剤において低かった。(P<.001)
 リポソーム製剤アムホテリシンB 3mg/kg/day群において、
 腎障害、血清クレアチニンレベルが低い傾向にあった。(P=.004)
 死亡率は10週間で11.6%と全体で差はみられなかった。
AIDS+クリプトコッカス髄膜炎におけるリポソーム製剤アムホテリシンBは3mg/kg/dayで副作用少なく効果良好_e0156318_9513481.jpg
結論:
 AIDS+クリプトコッカス髄膜炎患者において、
 リポソーム製剤アムホテリシンBは、通常のアムホテリシンBの代替となりうるが
 3mg/kg/dayは効果を有したまま副作用を減らす。

by otowelt | 2010-07-07 09:45 | 感染症全般