2010年 07月 13日 ( 3 )

ST合剤は、ACEIあるいはARB併用で高カリウム血症による入院リスクを増加させる

ST合剤に関しては色々論文が出ているが、
最近ではワーファリンとの相互作用が同じArch Intern Medから
発表されている。
ST合剤はワーファリン服用者において消化管出血のリスクを上昇させる

今回も感染症医必読。スタディの規模が結構多い。
ますますST合剤使いにくくなってくる。
でもまぁ、注意喚起くらいに思っておいた方がよさそう。

Trimethoprim-Sulfamethoxazole–Induced Hyperkalemia in Patients Receiving Inhibitors of the Renin-Angiotensin System
Arch Intern Med. 2010;170(12):1045-1049.


背景:
 トリメトプリムは高カリウム血症をを引き起こす可能性があるが、
 アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEIs)や
 アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARBs)と併用されることがしばしばある。
 このスタディの目的は、ST合剤とACEIsあるいはARBsを併用している高齢患者
 において、高カリウム血症に関連する入院について考察したものである。

方法:
 われわれは、66歳以上のカナダ・オンタリオにおける患者において
 ACEIおよびARBの治療を受けている患者をコホートで検証。
 ST合剤、アモキシシリン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、
 ニトロフラントインで治療されて14日以内に高カリウム血症で
 入院した患者を登録。それぞれの症例において、4人のコントロールとして
 年齢、性別、慢性腎疾患や糖尿病の有無などでマッチした同様の
 患者を用意した。高カリウム血症に関連する入院についてのオッズ比を算出。

結果:
 14年間のスタディ期間において、4148人の高カリウム血症患者が入院。
 そのうち371人が14日以内の抗菌薬曝露を受けていた。
 アモキシシリンと比べると、ST合剤は高カリウム血症による入院のリスクは
 7倍近く高かった (調整OR, 6.7; 95%CI, 4.5-10.0)。
 他の抗菌薬においては、明らかなリスク増加はなかった。

結論:
 ACEIsあるいはARBsを使用している高齢者において、
 ST合剤は、高カリウム血症における入院リスクを明らかに増加させる。
 こういった患者群においては、他の代替抗菌薬への変更を考えるべきである。

by otowelt | 2010-07-13 18:31 | 感染症全般

胸骨圧迫非中断下のエアウェイスコープは有用である可能性

Resuscitationは救急領域ではそれなりの論文ではある。
impact factorは2.712とやや低いが…。

最近、エアウェイスコープの論文が明らかに多い。
(以下、AWSは商品名への馴染みも含めてエアウェイスコープと訳す)
ERJやCHESTのEBUS-TBNAの論文のような感じで、
新しいモノへの興味がアクセプトに反映されている気がする。

過去にも記載した。
救急におけるGlide Scopeを用いた挿管

当たり前だが、心肺蘇生時に胸骨圧迫の中断は最小限にとどめるよう推奨されている。
push hard, push fast, without interruption
G2000では、CPA時に気管挿管を行うことが推奨されていた。おそらくは
非同期CPRの利点を生かすためでもあったが、G2005では30:2のCPRになって
しまったので、相対的に気管挿管の意義は低下した。そのため、アドバンスな気道
確保器具としてコンビチューブやラリンゲアルマスクエアウェイなどが見直された
経緯がある。コンビチューブ、ラリンゲアルマスクエアウェイ、気管挿管など
2つ以上の高度な気道確保に習熟しcase by caseで適応することがG2005で
推奨された。気管挿管は、挿入操作やチューブ位置確認のための胸骨圧迫の中断と
いったCPRの阻害因子があるため、熟練した蘇生者だけに許された手技になった。

気管挿管時に中断しなければ当然OKだが、現実そうもいかないこともある。
このジレンマを解決するため色々な論文が出てくるわけである。
特にエアウェイスコープなんかはその対象として、格好のモノとなった。
なので、今回のような論文がどんどんと出てくるのである。

Brief reportもチラホラあったのを知っているが。
Tracheal intubation using Macintosh and 2 video laryngoscopes with and without chest compressions
The American Journal of Emergency Medicine, 1 May 2010


以下、今回の論文。
Comparison of three types of laryngoscope for tracheal intubation during rhythmic chest compressions: A manikin study
Resuscitation, 07/08/2010


背景:
 心肺蘇生時の胸骨圧迫時に挿管する際に、胸骨圧迫を中断すると
 生存に関してはあまりよくないと考えられている。
 われわれは、マネキンを使用してエアウェイスコープが胸骨圧迫を中断せずに
 挿管が有用かどうかを検証した。

方法:
 35人のあまり挿管経験のない人間を術者とした。
 喉頭鏡は、マッキントッシュ型、Pentax-AWS(AWS)(エアウェイスコープ)、
 optic laryngoscope Airtraq (ATQ)を用いた。
 胸骨圧迫時の挿管に関して、その成功率と時間を観測した。

結果:
 周期的な胸骨圧迫中に、9人の術者がマッキントッシュで失敗、
 7人がATQで失敗、エアウェイスコープでは一人も失敗しなかった。
 成功率は明らかにエアウェイスコープで高かった。
 マッキントッシュと比較:P < 0.01、ATQと比較:P < 0.05
 挿管に要した時間も、エアウェイスコープがもっとも短かった。

結論:
 胸骨圧迫非中断下での挿管は、マッキントッシュやATQよりは
 エアウェイスコープの方が成功率も時間も良好である。

by otowelt | 2010-07-13 12:42 | 救急

末期腎不全SCLC患者へのCAPDと化学療法の併用

INTERNAL MEDICINEからの症例報告だが、
個人的に興味深かったので。

Successful chemotherapy for small-cell lung cancer in an elderly patient undergoing continuous ambulatory peritoneal dialysis.
Intern Med 2010;49:1179-1183


高齢者のSCLC、特に末期腎不全を合併した症例に対する化学療法は確立
されていない。CAPD施行中の高齢SCLC患者において化学放射線療法が
奏効した最初の症例を報告する。

症例はLD-SCLCと診断されたCAPD施行中の77歳の日本人男性、
カルボプラチン240mg/m(2)、day 1+エトポシド40mg/m(2)、day 1、3
による化学療法を1ヵ月ごと4サイクル施行。
患者は他の日は通常のCAPDを継続しながら、day 1と3に追加の血液透析を施行。
化学療法に引き続き、総線量45Gyの過分割放射線療法を施行したところ
SCLCのCRが得られた。薬物動態の検討では、カルボプラチンのAUCが
最初の3サイクルで3.41から4.88mg.min/mLに徐々に上昇したが、
エトポシドではこうしたAUCの上昇はなかった。カルボプラチンのAUCの上昇は
化学療法に伴う腎機能の悪化を反映したものと考えられる。
カルボプラチンの減量とAUCの修正を行なったが、患者は輸血と追加の投与量
減量を要するgrade 3~4の血液毒性を発症した。患者は診断から
19ヵ月後SCLCの再発により死亡。

by otowelt | 2010-07-13 11:43 | 肺癌・その他腫瘍