2010年 08月 21日 ( 2 )

ピリドキシンは抗癌剤関連手足症候群に無効

手足症候群:hand-foot syndrome(HFS)は、カペシタビン、UFT、5-FU、
TS-1、ドセタキセル、レボホリナートなどの抗癌剤で起こる副反応である。
これに対してピリドキサールが使用されることがあるが、
効果がないという2007年ASCOの報告をJCOで論文にしたもの。

Pyridoxine Is Not Effective to Prevent Hand-Foot Syndrome Associated With Capecitabine Therapy: Results of a Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study
J Clin Oncol 28:3824-3829.2010


目的:
 カペシタビンにピリドキシン治療を併用することによって、
 HFSを予防できるか検証する。

方法:
 化学療法を受けたことがない消化管癌患者でカペシタビンを使用する患者に
 ピリドキシンを200mg/日使用する群とプラセボ群に割り付けた。
 プラセボ群でHFSがgrade2以上出現した場合、次回の化学療法から
 ランダムにプラセボとピリドキシンに割付けられた。
 
結果:
 grade2以上のHFSが出現した化学療法サイクル中央値はいずれも3コースだった。
 grade2以上のHFSを呈したのは、180のプラセボ患者のうち55人(30.6%)で、
 180人のピリドキシン患者のうち57人(31.7%)であった。
 カペシタビンの量によってもその差は有意にはみられなかった。
 コース中に出現したプラセボ群の44人HFSを解析に含めても、HFSの改善に
 関しては有意差がみられなかった。(42.9% vs 47.8%; HR=1.12; P=.94)。
 多変量解析によって56歳以上の患者は、grade2以上のHFSの独立危険因子であった
 (HR=1.768; 95% CI, 1.190 to 2.628; P=.005)。
 また、ドセタキセル併用は有意ではないが、危険因子となる統計学上の境界線上にあった
 (HR=2.046; 95% CI, 0.880 to 4.755;P=.096)。
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結論:
 ピリドキシンはカペシタビン関連HFSには無効である。

by otowelt | 2010-08-21 21:59 | 肺癌・その他腫瘍

転移性非小細胞肺癌患者における早期緩和ケア導入はQOLとOSを改善

ASCO2010でも報告された。

Early Palliative Care for Patients with Metastatic Non-Small-Cell Lung Cancer
N Engl J Med 2010; 363 : 733-42.


背景:
 転移性非小細胞肺癌患者は、終末期であっても積極的な治療を受けることがある。
 新たに転移性非小細胞肺癌と診断された外来の患者において、診断後に
 早期緩和ケア導入をおこなうことによって、治療転帰と終末期医療への影響を検討。

方法:
 外来で 新たに転移性非小細胞肺癌と診断された患者を、癌の標準治療に
 早期緩和ケアを組み合わせて行う群と、標準治療のみを行う群に無作為に割り付け。
 ベースラインと12週目QOLおよび気分を、
 Functional Assessment of Cancer Therapy-Lung:FACT-Lと
 Hospital Anxiety and Depression Scaleを用いて評価。
 プライマリエンドポイントは、12週目QOL変化。
 FACT-Lは0~136点まであり、点数が高いほどQOLが良いことをあらわす。

結果:
 ランダム化した151例の中で、107例(86%)が評価可能であった。
 早期緩和ケア群が、標準治療群よりQOLが良好だった
 (FACT-L平均スコア 98.0 点 VS 91.5点、P=0.03)。
 さらに、早期緩和ケア群のほうが、抑うつ症状を有する患者が少なかった
 (16% VS 38%、P=0.01)。終末期に積極的治療を受けた患者数は
 早期緩和ケア群の方が、標準治療単独群より少なかった(33% VS 54%,P=0.05)。
 しかしながら、OS中央値は早期緩和ケア群のほうが長かった
 (11.6M VS 8.9M,P=0.02)。
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結論:
 転移性非小細胞肺癌患者において、早期緩和ケアによりQOLと気分に
 有意な改善がみられた。また、早期緩和ケア群では終末期に
 積極的治療を受けることが少なかったが、OSは長かった。

by otowelt | 2010-08-21 20:43 | 肺癌・その他腫瘍