2010年 08月 24日 ( 2 )

セフタロリン単独療法はcSSSIへのバンコマイシン+アズトレオナムに対して非劣勢

complicated skin and skin structure infections (cSSSI)の日本語訳が
よくわからなかったので、このまま表記する。
cSSSI治療では、基本的にMRSAをたたけないとハナシにならない。
最近では、テラバンシンが承認されたことが記憶に新しい。
これは細菌の細胞壁合成を阻害するバンコマイシンと同じ作用に加えて
細胞膜透過性の増大作用がある。
cSSSIにおいては、バンコマイシンに対して非劣勢が証明されている。
Telavancin versus vancomycin for the treatment of complicated skin and skin-structure infections caused by gram-positive organisms. Clin Infect Dis 2008; 46:1683.

最近ではVCM耐性もカバー可能なオリタバンシンなんて薬剤も有名である。
Oritavancin: a new avenue for resistant Gram-positive bacteria. Expert Rev Anti Infect Ther 2005; 3:325.

セフタロリン(Ceftaroline)は第5世代のセフェム系で、
セフトビプロールと同じ世代に属する。
基本的にはMRSAまでカバーをひろげた超ブロードスペクトラムな
セフェム系抗菌薬と考えてよい。

IDSAでは市中肺炎へのセフトリアキソンと比較された。
さすがに市中肺炎に第5世代セフェム系というのは
少々カバーが異なる気がするのだが、どうだろうか。
FOCUS 1 and 2: Randomized, Double-blinded, Multicenter Phase 3 Trials of the Efficacy and Safety of Ceftaroline (CPT) vs. Ceftriaxone (CRO) in Community-acquired pneumonia (CAP). 2009 Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy / Infectious Disease Society of America Conference

今回CIDから出た論文は、すでに発表されている事項だが
cSSSIへのバンコマイシン+アズトレオナムに対してセフタロリンが
非劣勢であったことを示した論文である。

―――――以下、今回の論文。
Integrated Analysis of CANVAS 1 and 2: Phase 3, Multicenter, Randomized, Double‐Blind Studies to Evaluate the Safety and Efficacy of Ceftaroline versus Vancomycin plus Aztreonam in Complicated Skin and Skin‐Structure Infection
Clinical Infectious Diseases 2010;51:641–650


背景:
 MRSAはcomplicated skin and skin structure infections (cSSSI)の
 重要な原因菌である。セフタロリンはcSSSIに対する治療として
 臨床試験が行われたが、ここにそのプールしたデータを紹介する。
 プライマリエンドポイントはセフタロリン単独治療によって
 バンコマイシン+アズトレオナム併用治療に非劣勢を証明することである。

方法:
 cSSSI患者においてセフタロリン600mg12時間ごとに
 バンコマイシン1g12時間ごと+アズトレオナム1g12時間ごとを
 5~14日間おこない比較。

結果:
 1378人の患者が登録s、693人がセフタロリン、
 685人がバンコマイシン+アズトレオナム群に割り付けられた。
 Clinical cure rateは両群において同等であった。
 CE:91.6% vs 92.7%
 MITT:85.9% vs 85.5%
 副反応についても両群で大きく差はみられなかった。

結論:
 セフタロリンはMRSAあるいは他の菌によるcSSSIに対して
 高い治癒率をほこり、安全性も認容できる。
 バンコマイシンとアズトレオナム併用に比べて非劣勢であり
 cSSSI治療に対して単独療法は他の治療と代替可能(alternative)である
 可能性がある。

by otowelt | 2010-08-24 19:59 | 感染症全般

肺癌において放射線化学療法は心機能障害のリスク

化学療法と放射線療法は心機能障害を起こす。
これは、過去にも報告されている。
・American Society of Clinical Oncology Clinical Evidence Review on the ongoing care of adult cancer survivors: cardiac and pulmonary late effects. J Clin Oncol 2007; 25: 3991–4008.
・Concurrent end-phase boost high-dose radiation therapy for non-small-cell lung cancer with or without cisplatin chemotherapy. Australas Radiol 2006; 50: 342–348.
・Cardiac damage following therapeutic chest irradiation. Minerva Cardioangiol 2000; 48: 78–87.


今回Annals of Oncologyから3万人規模のスタディが報告されたが、
心機能障害を呈するリスクがあることを肺癌治療医は肝に銘じておかねばならない。

Cardiac toxicity in association with chemotherapy and radiation therapy in a large cohort of older patients with non-small-cell lung cancer
Annals of Oncology 21: 1825–1833, 2010


背景:
 このスタディの目的は、化学放射線療法をNSCLCで受けている場合に
 心機能悪化のリスク上がるか否かを検証することである。

方法:
 34209人の65歳以上の患者で病期I~IVの患者を登録。(1991–2002)
 NSCLC診断時には、心機能障害はない患者を選んだ。

結果:
 化学放射線療法によって、有意に心機能障害のリスクがみられた。
 具体的には、虚血性心疾患、伝導障害、心不全など。
 心機能障害は化学療法単独あるいは放射線療法単独でもみられたが
 化学放射線療法ではさらにリスクが増えた。
 男性、黒人、高齢、進行期の患者では合併症スコアが高かった
 左肺癌あるいは両肺癌の患者においては、化学放射線療法による
 虚血性心疾患リスクが高かった。
肺癌において放射線化学療法は心機能障害のリスク_e0156318_12272978.jpg
結論:
 NSCLCへの化学放射線療法により、心機能障害を起こすリスクがある。
 特に左肺癌の患者においては虚血性心疾患リスクが高い。

by otowelt | 2010-08-24 18:28 | 肺癌・その他腫瘍