2010年 12月 02日 ( 2 )

市中肺炎において、MR-proADMなどの新しいバイオマーカーはきわめて有用な予後予測因子

肺炎のバイオマーカーとしてMR-proADMの話題。
日本語に直すと、中央領域プロアドレノメデュリンと呼ぶ。

心不全で多少知られているマーカーでもあるが、
プロカルシトニンを上回るバイオマーカーとして
感染症の世界で最近知られるようになってきたマーカーである。
・Midregional proadrenomedullin as a prognostic tool in community acquired pneumonia. Chest 2009;136:823–831.
・Proadrenomedullin to predict severity and outcome in communityacquired pneumonia. Crit Care 2006;10:R96.


以下、12月1日付のAJRCCMから。

Cardiovascular and Inflammatory Biomarkers to Predict Short- and Long-Term Survival
in Community-acquired Pneumonia
Results from the German Competence Network, CAPNETZ
Am J Respir Crit Care Med Vol 182. pp 1426–1434, 2010


背景:
 市中肺炎(CAP)に対するいくつかの新しいバイオマーカーは、
 死亡率と関連している。

目的:
 このスタディの目的は、こういった新しいバイオマーカーが
 短期あるいは長期的なCAPの死亡率を予測するかどうか比べたものである。

方法:
 728人のCAP患者 (59.0±18.2 歳) を登録。
 Midregional proadrenomedullin (MR-proADM)、
 midregional proatrial natriuretic peptide (MR-proANP)、
 proarginin-vasopressin (copeptin)、
 proendothelin-1 (CT-proET-1)、procalcitonin (PCT)、
 C-reactive protein(CRP)が測定された。
 CRP-65スコアによって肺炎の入院を決めた。
 180日間のフォローアップをおこなった。

結果:
 28、180日目のあらゆる原因による死亡率は、2.5%、5.1%で、
 生存者に比べ、MR-proADM、MR-proANP、copeptin、CT-proET-1 、
 PCTは CRB-65と同様に高かった。MR-proADMが、28日(HR 3.67) と
 180日(HR 2.84)の生存の観点から最もよい指標であった。
 MR-proADMのC index は28日目の生存で0.85。
 MR-proANPの0.81、copeptinの0.78、CT-proET-1の0.79、CRB-65の0.72
 と比較してよかった。180日目の生存も同等であった。
 MR-proADM 0.78、MR-proANP 0.74、copeptin 0.73、CT-proET-1 0.76。
 MR-proADMはCRB-65と独立して短期あるいは長期の死亡率を予測する情報を
 与える。すなわち予後予測因子としてきわめて有用である。
市中肺炎において、MR-proADMなどの新しいバイオマーカーはきわめて有用な予後予測因子_e0156318_1135552.jpg

結論:
 CAP死亡における短期あるいは長期の死亡率のよい予測因子として
 新しいバイオマーカーはおおむねよい結果であった。
 MR-proADMはもっともすぐれていた。
 CRB-65にMR-proADMを加えると、死亡率を予測する上では最良かもしれない。

by otowelt | 2010-12-02 06:50 | 感染症全般

男性の肥満はハザード比1.4で肺炎リスクを高める

ERJの方がCHESTより早く出版される点、
ERJの方が見やすいデザインである点、
から個人的にはERJが好きである。

ERJから、かなり大規模なプロスペクティブコホート試験である。
肥満はハザード比1.4で肺炎リスクを高めるという内容の論文。

今回Abstractには記載されていなかったが、low BMIも
肺炎のリスクであり、これは男女共通の危険因子である。
ただこのlow BMIと肺炎の関連は過去に報告されている。
・New evidence of risk factors for community-acquired pneumonia: a population-based
study. Eur Respir J 2008; 31: 1274–1284.
・Risk factors for community-acquired pneumonia in German adults: the impact
of children in the household. Epidemiol Infect 2007; 135: 1389–1397.


以下、今回の論文。

Obesity and risk of subsequent hospitalisation with pneumonia
Eur Respir J 2010; 36: 1330–1336


背景:
 肥満は肺炎のリスクと関連しているかもしれないが、この関係性のデータは
 乏しいのが現状である。

方法:
 われわれは、プロスペクティブコホート試験として
 50~64歳の基礎疾患のない22578人の男性と25973人の女性を登録。
 (Danish Diet,Cancer and Health Study)
 肺炎による初回入院、および中央値12年間のフォローアップを施行。

結果:
 男性の正常体重に比べると、中等度の肥満(BMI30~34.9)で
 肺炎の調整ハザード比1.4(95% CI 1.2–1.7)、重症肥満(BMI35~)で
 2.0 (95% CI 1.4–2.8)であった。
 女性において、この関連は少なかった。調整ハザード比は
 それぞれ0.8(95% CI 0.6–1.0)、1.2 (95% CI 0.8–1.6)であった。
 フォローアップ中に診断された慢性疾患の罹患で調節した場合、
 この関連性はみられなかった。
男性の肥満はハザード比1.4で肺炎リスクを高める_e0156318_11104698.jpg
結論:
 肥満は、男性において肺炎の入院リスクである。女性にはこの傾向はみられなかった。
 これは慢性疾患が基礎になっている可能性があり、こういった疾患に
 罹患することが原因かもしれない。

by otowelt | 2010-12-02 06:15 | 感染症全般