2010年 12月 16日 ( 2 )

癌患者におけるH1N1インフルエンザのICU入室症例

選択基準がICU入室したH1N1インフルエンザの癌患者なので、
必然的に重症になるのは当たり前だと思うが・・・。
癌という因子とインフルエンザという因子とICU入室が必要な呼吸不全症例という因子と
複数の因子が組み合わさっているので、こればかりは
どの因子がどの程度DADの発症に寄与しているか知る由もない。

Severe novel influenza A (H1N1) infection in cancer patients
Annals of Oncology 21: 2333–2341, 2010


背景:
 癌患者における重症のH1N1インフルエンザ感染症はまだよく特徴がわかっていない。
 われわれは、癌患者においてH1N1インフルエンザでICUに入室した患者8症例を
 ここに報告する。

患者および方法:
 臨床的データは入室した新型H1N1インフルエンザで呼吸不全に陥ったもの全員から
 抽出した。肺組織はウイルスあるいは細菌学的検索をリアルタイムPCRで行うために
 採取され、剖検は死亡した全症例で施行した。

結果:
 8症例が入室し、年齢は55~65歳であった。固形癌が5人(62.5%)で、
 血液腫瘍が3人(37.5%)だった。5人の患者が人工呼吸器を使用したが、全員死亡した。
 4人は細菌性気管支肺炎を有していた。死亡者はすべて多臓器不全によるものであった。
 生存症例3人は肺疾患があったものの非常に臨床像がマイルドであった。
 肺組織が検証されたが、ほとんどの患者ではDADパターンであった。
 他の肺組織所見として、壊死性細気管支炎、肺胞出血などがみられた。 
癌患者におけるH1N1インフルエンザのICU入室症例_e0156318_993434.jpg
結論:
 癌患者におけるH1N1インフルエンザウイルス感染は重症であり、
 ARDSから死に至る可能性がある。

by otowelt | 2010-12-16 09:13 | 感染症全般

LETS試験:進行NSCLCに対してCBDCA+S-1はCBDCA+PTXに非劣性

11月に出たのに、読めてなかった論文。
LETS(Lung cancer Evaluation of TS-1)試験として有名である。
パクリタキセルによる副作用がないこと、点滴時間が少ないことなどから
外来化学療法の選択肢としてCBDCA+TS-1は有効であると考えられている。
血小板減少の有害事象がやや多くみられている点は覚えておきたい。

Phase III trial comparing oral S-1 plus carboplatin with paclitaxel plus carboplatin in chemotherapy-naive patients with advanced non-small-cell lung cancer:results of a West Japan Oncology Group study.
JCO November 15, 2010


背景:
 この多施設ランダム化第III相試験の目的は、進行非小細胞肺癌(NSCLC)の
 1st-lineでカルボプラチンと経口フッ化ピリミジン誘導体S-1の併用がOSで
 カルボプラチン+パクリタキセルに対し非劣性を示すかを検討することである。

方法:
 564例を
 CBDCA(AUC 5)day 1+S-1(40mg/m2、1日2回)day 1~14
 またはCBDCA(AUC 6)+PTX(200mg/m2)day 1、21日毎
 にランダムに割りつけ。

結果:
 中間解析において、O’Brien-Flemingの有意境界値である0.0080を超え、OSで
 CBDCA+S-1のCBDCA+PTXに対する非劣性が確認された(HR 0.928;
 99.2%CI 0.671-1.283)。OS中央値はCBDCA+S-1群15.2ヵ月、
 CBDCA+PTX群13.3ヵ月、1年生存率はそれぞれ57.3%と55.5%であった。
 CBDCA+PTX群ではgrade 3~4の白血球減少・好中球減少、発熱性好中球減少、
 脱毛、神経障害が多く、CBDCA+S-1群では血小板減少、嘔気・嘔吐、下痢が多かった。
 CBDCA+S-1群ではCBDCA+PTX群に比べ投与の遅れが有意に多くみられた。
LETS試験:進行NSCLCに対してCBDCA+S-1はCBDCA+PTXに非劣性_e0156318_84843100.jpg
結論:
 進行NSCLC患者において、経口S-1とカルボプラチンの併用は
 カルボプラチン+パクリタキセルに対しOSで非劣性で、有効な治療選択肢になりうる。

by otowelt | 2010-12-16 06:38 | 肺癌・その他腫瘍