2011年 01月 05日 ( 3 )

抗結核薬におけるDLSTは役に立たない?

全国的にも薬剤アレルギーを疑った時に
DLSTが検査される傾向にある。
個人的にはあまり有用とはおもっていない検査の1つである。
メソトレキセートに至っては、もはや出すべきではないとすら思っている。

過去記事:
DLSTは薬剤アレルギーに有用なのか?

抗結核薬のDLSTについて、2008年に論文が出ているが
「DLSTは有用でない」という報告であったため
めんどくさくて読んでいなかった。
最近INHの減感作ばっかりやっているので、せっかくなので読んでみた。
結核屋にとっては大事な論文であろう。

Drug Lymphocyte Stimulation Test in the Diagnosis of Adverse Reactions to Antituberculosis Drugs
CHEST 2008; 134:1027-1032


背景:
 結核は近年の治療向上により効果が高くなっているが、
 その反面で副作用も多いとされている。
 これに対してDrug lymphocyte stimulation test (DLST)が
 副作用を起こす抗結核薬の特定につながるかどうかを検討する。

方法:
 プロスペクティブスタディで、結核入院患者436人を対象とした。
 結核の治療中に副作用を生じた患者にDLSTおよび
 薬剤誘発試験(DPT)をおこなった。薬剤は、isoniazid (INH), rifampin (RIF),
 ethambutol (EMB), pyrazinamide (PZA)とする。

結果:
 436人中69人(15.8%)で副作用を認めた。
 全体で261剤がDLSTおよびDPT施行となった。
 DLST陽性は20例(28.9%)・28剤(10.7%)
 これに対してDPT陽性は46例(66.6%)・67剤(25.7%)であった。
 DLSTの感度は、全薬剤に対しては14.9%であり、個々の薬剤に対しては
 INH 14.3%、RIF 13.6%、EMB 14.3%、PZA 0%であった。
抗結核薬におけるDLSTは役に立たない?_e0156318_179236.jpg

解釈:
 DPT陽性ならば基本的にDLST陽性であってほしい。この論文の
 根幹はそこにあると思う。この結果から、INHに限って言えば、
 DLSTのSIが高い症例ではDPT陽性例の傾向があるように見える。
 しかしながら、感度は極めて低く、なおかつ偽陽性がINHで20%を超える
 となると、これはもう検査としては成立しない範疇と考えてよいだろう。
 ただ、INHのSIが信じられないくらい高いときはINHに関しては
 考慮してもよいかもしれない。


結論:
 DLSTはの副作用を起こした抗結核薬の同定には寄与しない。

by otowelt | 2011-01-05 15:49 | 抗酸菌感染症

サルコイドーシスにおいて、心拍数の回復遅延がみられる

heart rate recoveryはいろいろな疾患で検証されており、
ぶっちゃけたところ”言ったもん勝ち”の要素もあるように思う。

過去記事:
6分間歩行試験後の心拍数回復は、IPFにおける予後因子である

CHESTからサルコイドーシスにおけるHRRの話題。

Impaired Heart Rate Recovery Index in Patients With Sarcoidosis
CHEST 2011; 139(1):60–68


背景:
 炎症性肉芽腫性疾患であるサルコイドーシスは、さまざまな循環器系障害と
 関連しており、致死的な心室性不整脈や突然死にいたることもある。
 運動後の心拍数の回復:heart rate recovery (HRR)は、迷走神経機能
 であり、この障害は心臓血管による死亡あるいは全死亡の独立危険因子である。
 このスタディの目的は、サルコイドーシスにおけるHRRを評価することである。

方法:
 56人のサルコイドーシス患者を登録(23人が男性、平均年齢は47.3±13、
 平均罹患年数は38.4 ± 9.7 months)した。54人の健常者を対照群として
 登録した(20人が男性、平均年齢は46.5±12.9)。心電図、心エコー、
 トレッドミル検査が全ての患者においておこなわれた。
 HRR indexは、1分後の心拍数ピークの減少と定義した(HRR1)。
 2分後のものはHRR2とし、HRR3、HRR5まで定義。

結果:
 HRR1とHRR2において、サルコイドーシスと対照群に有意な差がみられた。
 (HRR1:25± 6 vs 34 ± 11; P<.001 、HRR2:45 ± 10 vs 53 ± 12; P<.001)
 同様にHRR3、HRR5も同じ結果が得られた。
 (HRR3:53 ±12 vs 61± 13; P< .001、HRR5:60 ± 13 vs 68 ± 13; P<.001)
 運動耐容能も有意に低く(9.2 ± 2.1 vs11.6 ± 2.8 METs; P=.001)、
 安静時の収縮期肺動脈圧もサルコイドーシス患者で高かった。
 (29.7± 5.5 mmHg vs 25.6 ± 5.7 mmHg, P=.001)
 加えて、サルコイドーシスの放射線学的ステージによっても差がみられた。
サルコイドーシスにおいて、心拍数の回復遅延がみられる_e0156318_22163473.jpg
結論:
 サルコイドーシスにおけるHRR indexは、健常者に比べると回復が遅い。
 HRR indexを予後予測因子として考えたとき、これによって
 不整脈の発症や突然死の増加を説明できるかもしれない。

by otowelt | 2011-01-05 06:57 | サルコイドーシス

難治性喘息において、NTM感染が一部関連している可能性がある

毎月、CHESTはやや遅れて月始に出る。
呼吸器系のimpact factorが高い論文は、
いつもERJ→AJRCCM→CHESTという順番で読むことになる。

CHESTからNTMと喘息の関連について報告があった。
この論文におけるコホート内症例対照研究というのは、
追跡中のコホート内に発生した患者を”症例”とし、対照が
症例と同じコホートから選択されるもののその選択が
症例の発症後に行われるようなタイプの症例対照研究のことである。

Nontuberculous Mycobacterial Infection as a Cause of Diffi cult-to-Control Asthma. A Case-Control Study.
CHEST 2011; 139(1):23–27


背景:
 非結核性抗酸菌症(NTM)による症候性疾患は、
 構造的な肺疾患の存在があることによって起こることが一般的であるが
 喘息についての報告は少ない。

方法:
 これはコホート内症例対照研究である。われわれは、22人の
 難治性喘息で紹介を受けNTM感染がみられた患者を登録した。
 それぞれの症例に2症例の対照患者を準備した。
 (当該症例から次の喘息2連続患者)

結果:
 症状が発症あるいは悪化してからNTMの診断がつくまで平均2.1年かかった。
 よくみられた症状は、咳嗽の悪化(77%)、喀痰(40.9%)、
 喘息発作の増加(31.8%)であった。肺MAC症は22人中14人(63.6%)に
 みられ、残り8人はM.xenopiであった。該当症例は対照群と比べて
 高齢であり(59.8 ± 8.9 vs 42.6 ± 18 years;P<.001)、より予測FEV1が
 低かった(FEV1 57% [40%-74%] vs 89.5% [80%-98%];P<.001)。
 吸入ステロイド使用率、日々の使用量については両群ともに差はなかったが、
 NTM患者においては、より長期にステロイド吸入を使用していた。
 (17 [6.2-20] vs 4 [0.75-6.0] years; P=.002)
 NTMの6例は、経口ステロイドを常用しており、対照群では使用はみられなかった。
 22例のうち、10例はNTMに対する抗菌薬治療を施行され、7人がその改善を認めた。

結論:
 NTM感染は喘息と関連している可能性がある。難治性の高齢患者で
 吸入ステロイドを使用しているにもかかわらず、FEV1がより低い場合には
 NTM感染を疑うべきである。

by otowelt | 2011-01-05 05:09 | 抗酸菌感染症