2011年 01月 19日 ( 2 )

アセトアミノフェンを服用している思春期の若者は、喘息、鼻炎、湿疹に罹るリスクが高い

アセトアミノフェンがCOX-1阻害作用があるために
高用量の場合に喘息のリスクとなるのは有名であるが、
小児のアセトアミノフェン使用が、喘息罹患のリスクファクターになるのか
どうかは長い間議論を呼んでいる。

小児の発熱に対して用いられているアセトアミノフェンが喘息の危険因子になることは
既にLancetで報告されている。72ヶ国が参加した
このInternational Study of Asthma and Allergy in Childhood (ISAAC)試験で、
1歳時にパラセタモールを投与すると、6から7歳で喘息を発症するリスクが
1.46倍と報告されている。ただ、交絡因子と研究デザイン想起バイアスが指摘されていた。
Association between paracetamol use in infancy and childhood, and risk of asthma, rhinoconjunctivitis, and eczema in children aged 6–7 years: analysis from Phase Three of the ISAAC programme. Lancet 2008;372:1039–1048.

ただ、BMJからはその関連性は否定的であった。
呼吸器感染による交絡因子を除外して補正した場合、喘息の罹患リスクのORは
0.96倍(crude odds ratio 0.95, 0.81 to 1.12)であった。
Paracetamol use in early life and asthma: prospective birth cohort study. BMJ 2010; 341:c4616

今回、ISAAC試験を受けた論文がAJRCCMから出た。
過去に論文データは全て発表されていたが、正式に出版されたのが今回である。
結論としては、アセトアミノフェンも喘息リスクとなりうるが使う場合は慎重に
使わないといけない、ということだろう。

Acetaminophen Use and Risk of Asthma,Rhinoconjunctivitis, and Eczema in Adolescents International Study of Asthma and Allergies in Childhood Phase Three
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 171–178, 2011


背景:
 アセトアミノフェンが喘息の罹患リスクを上昇させることはすでに疫学的研究から
 わかっていることである(断言しましたね)

目的:
 現在アセトアミノフェンを使用している13~14歳の小児に対して
 世界的に喘息あるいは他のアレルギー疾患のリスクの評価をおこなった。

方法:
 第III相ISAAC試験の部分的なデータとして、13~14歳の小児で
 筆記あるいはビデオによるアンケートで、現在の喘息症状、
 鼻結膜炎、湿疹のデータが得られた。また、筆記による
 環境的なアンケートをISAAC調査用紙で施行。

結果:
 プライマリアウトカムは現在のアセトアミノフェン使用による喘息症状
 のオッズ比とした。322959の小児(50ヶ国、113施設)が参加した。
 多変量解析では、最近のアセトアミノフェン使用は
 その曝露による喘息症状の悪化と関連
 (年に1回OR, 1.43 95%CI,1.33–1.53、1ヶ月に1回2.51 95%CI 2.33–2.70)。
 アセトアミノフェン使用は、曝露による鼻結膜炎と湿疹の症状も
 増悪させていた。
アセトアミノフェンを服用している思春期の若者は、喘息、鼻炎、湿疹に罹るリスクが高い_e0156318_1212430.jpg
結論:
 アセトアミノフェン使用は、喘息、鼻結膜炎、湿疹の増悪の
 重要なリスクファクターであると考えられる。

by otowelt | 2011-01-19 12:01 | 気管支喘息・COPD

CCR2は好中球が多臓器へ浸潤するためのカギとなる受容体

CCR2はマクロファージ、好中球浸潤による組織障害を誘導すると言われている。

Essential Role of CCR2 in Neutrophil Tissue Infiltration and Multiple Organ Dysfunction in Sepsis
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 234–242, 2011


背景:
 敗血症は、感染症による全身性炎症反応として定義されており
 多臓器不全(MODS)と関連する重症な病態である。
 MODSの詳しいメカニズムについてはまだよくわかっていない。
 好中球は感染防御における要であるが、過度の好中球活性化は
 組織ダメージを起こしうることが知られている。

目的:
 われわれは、敗血症において
 ケモカインレセプターCCR2が好中球浸潤に果たす役割と
 遠隔臓器の組織ダメージ惹起を引き起こす役割について研究した。

方法:
 敗血症は、CCR2アンタゴニスト(RS504393) あるいはCCR22/2が
 投与された野生型マウスに対して盲腸結紮穿刺(CLP)モデルにより
 惹起された。臓器への好中球浸潤は、ミエロペルオキシダーゼ活性と
 フルオロセイン活性化細胞分別機で測定した。

結果:
 CCR2の発現はCLPによる敗血症の間、Toll-like receptor/nuclear factor
 -kB pathwayを経由し、循環好中球によって惹起された。
 遺伝子的・薬理学的なCCR2阻害は、CLPによる死亡からマウスを
 守ることができた。この所見は、肺、心臓、腎臓への好中球浸潤が少ない
 ためであると推察される。重要なこととして、敗血症患者における
 好中球はCCR2高値をもたらし、この重症度と
 CCR2リガンドへの好中球遊走が増えることとが相関しているものと考える。

結論:
 これらのデータにより、敗血症において
 CCR2は好中球が多臓器へ浸潤するためのカギとなる受容体であると考えられる。
 そのためCCR2がブロックできるとすれば、敗血症によるMODS治療に対して
 潜在的な新治療となりうる。

by otowelt | 2011-01-19 06:29 | 集中治療