2011年 03月 02日 ( 2 )

16S rDNAクローンライブラリ―法では、細菌性胸膜炎の嫌気性菌関与が培養法よりも大きい

培養法によれば、細菌性胸膜炎に嫌気性菌が関与する頻度は4.9~34%である。
ただ、198例の膿胸を調べた論文では70%以上に嫌気性菌が同定された。
Anaerobic microbiology in 198 cases of pleural empyema: a Bulgarian study. Anaerobe .2004 ; 10 ( 5 ): 261 - 267

分子生物学的な手法によって菌のetiologyを調べる方法が流行であり、
CAPにおいて20%が嫌気性菌関与であろうと同法により推定している報告もある。
The bacteriology of pleural infection by genetic and standard methods and its mortality significance. Am J Respir Crit Care Med . 2006 ; 174 ( 7 ): 817 - 823

CHESTより、cultivation independentである16S rDNAクローンライブラリー
によって細菌性胸膜炎の嫌気性菌の関与を調べた報告。

A Higher Signifi cance of Anaerobes. The Clone Library Analysis of Bacterial Pleurisy
CHEST 2011; 139(3):600–608


背景:
 胸腔内感染症において細菌の頻度は現在までにいろいろ報告されている。
 このスタディの目的は、細菌性胸膜炎において、培養非依存的手法
 (cultivation independent method)を用いて検証するものである。

方法:
 胸水は、42人のは発熱患者で片側胸水の例において採取した。
 細菌フローラは、16S rDNAクローンライブラリー法、すなわち培養操作を
 伴わない分子生物学的手法に基づく微生物群集の構造解析によって検証。

結果:
 42の検体が採取され、26人が細菌性胸膜炎であった。7人が結核性胸膜炎、
 9人が他の原因であった。26の細菌性の症例において、16人(61.5%)が
 16S rDNAシークエンス解析において陽性であり、11人(42.3%)が
 培養法においても陽性であった。16人のPCR陽性例のうち7人(43.8%)が
 嫌気性のphylotype(系統解析により分類されたtype)が有意に検出された。
 嫌気性phylotype(7人のうち6人)は培養法によっては同定されなかった。
 26人の細菌性胸膜炎の患者のうち、9人(34.6%)はクローンライブラリー法
 の結果が培養法と一致しなかった。9人のうち7人は、2方法の間に嫌気性菌
 によるものと思われる乖離がみられた。

結論:
 16S rDNAによるクローンライブラリ―法では、細菌性胸膜炎の患者において
 当初培養法によって想定されていたより高頻度の嫌気性菌感染症がみられた。

by otowelt | 2011-03-02 15:26 | 感染症全般

漏出性胸水がある人工呼吸器装着患者において、ドレナージは人工呼吸器装着期間を短縮する

過去のCHESTの論文に、胸水ドレナージにより
人工呼吸器装着患者において呼吸仕事量が減ることが報告されている。
漏出性胸水がある人工呼吸器装着患者において、ドレナージは人工呼吸器装着期間を短縮する_e0156318_14151100.jpg
Effect of thoracentesis on respiratory mechanics and gas exchange in the patient receiving mechanical ventilation. Chest . 2006 ; 130 ( 5 ):1354 - 1361

今月のCHESTに、プライマリエンドポイントに臨床アウトカムを
設定したレトロスペクティブ試験が掲載されていた。

Chest Tube Drainage of Transudative Pleural Effusions Hastens Liberation From Mechanical Ventilation
CHEST 2011; 139(3):519–523


背景:
 胸水はしばしば人工呼吸器を装着する患者にみられる。
 増悪の原因治療および胸水の寛解には時間を要する。
 われわれは人工呼吸器患者において、レトロスペクティブに
 漏出性胸水に対してドレナージの効果を検証した。

方法:
 患者は、Maimonides Medical Centerの内科ICU(MICU)に2009年1月
 から2009年10月31日まで入室していた患者で人工呼吸器を装着し
 漏出性胸水がみられた対象とした。患者は2群にわけられた。
 通常治療において治療された群と胸腔ドレーンによってドレナージを受けた群。
 胸腔ドレナージは集中治療医において、エコーガイド下に施行された。
 プライマリエンドポイントは人工呼吸器装着期間とした。
 セカンダリエンドポイントは、酸素化の程度、ドレナージされた胸水両、
 胸腔ドレーンによる合併症とした。 
 漏出性胸水の診断はLightの基準に準じた。
 1. The ratio of pleural to serum protein was >0.5
 2. The ratio of pleural to serum lactate dehydrogenase was >0.6
 3. The pleural fl uid lactate dehydrogenase level was >200 IU/L
 胸腔ドレーンは、14Fr pig tailのもの(Angiodynamics Inc;Latham, NY)。

結果:
 168人の患者がスタディに組み込まれた。88人が通常治療、80人がドレナージを
 受けた。トータルの人工呼吸器装着期間は、有意に胸腔ドレナージ群の方が
 短かった。(3.8 ± 0.5 days vs 6.5 ± 1.1 days )( P=.03)
 酸素化は両群ともに差はみられなかった。平均胸水ドレナージ量は1220mlであった。
 有意な合併症は確認されなかった。
漏出性胸水がある人工呼吸器装着患者において、ドレナージは人工呼吸器装着期間を短縮する_e0156318_1433459.jpg
結論:
 人工呼吸器装着患者において、漏出性胸水がみられる場合胸腔ドレーンにより
 ドレナージをはかる方が人工呼吸器装着期間は短縮できる。

by otowelt | 2011-03-02 08:58 | 集中治療