2011年 03月 07日 ( 2 )

気管支喘息における吸入ステロイドは、肺炎のリスクを増加させない

気管支喘息に対する吸入ステロイドが
肺炎のリスクを上昇させるか検証したメタアナリシス。
”アストラゼネカ社”と銘打っているのがすごく気になる。

過去にCOPDにおいて、肺炎リスク上昇が示唆されている。
Inhaled corticosteroid usein chronic obstructive pulmonary disease and the risk of hospitalizationfor pneumonia. Am J Respir Crit Care Med 2007;176:162–166.

COPDにおいて吸入ステロイドが感染のリスクになりうる原因として、
COPDは下気道に、細菌のコロナイゼーションが多いからと考えられている。
Bacterial infection in chronic obstructive pulmonary disease. A study of stable and exacerbated outpatients using the protected specimen brush. Am J Respir Crit Care Med 1995;152:1316–1320.

以下、今回の論文。
Risks of Pneumonia in Patients with Asthma Taking Inhaled Corticosteroids
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 589–595, 2011


背景:
 吸入ステロイド(ICS)は、喘息治療の主幹である。COPDにおける
 スタディで、ICSにより肺炎を増加させるとの研究があった。そのため、
 気管支喘息におけるICSで肺炎のリスクが増加するのかどうか関心がある。

目的:
 気管支喘息に対してICSを受けている患者の肺炎リスクを評価する。

方法:
 ICSブデソニドを喘息に対して受けている患者をレトロスペクティブに解析。
 プライマリデータに登録された臨床試験は、すべて二重盲検プラセボ対照試験で
 最低でも3ヵ月以上ブデソニドを含むICSを受けているものとした。
 (26試験/ブデソニド:9097人、比較:5926人)
 スポンサーはアストラゼネカ社とした。
 セカンダリデータに登録された臨床試験は、
 最低3ヵ月以上の条件は変わらないが、プラセボ対照群がないものとした。
 (60試験/ブデソニド33496人、フルチカゾン2773人)
 Cox比例ハザード回帰モデルがICSの肺炎への副作用あるいは重大な副作用の
 効果への相対リスクを評価するために用いられた。

結果:
 肺炎の副作用がみられたのは、プライマリデータにおいて0.5%
 (rate 10.0 events/1,000 patient-years [TPY]) for budesonide and
 1.2% (19.3 per TPY) for placebo (HR 0.52; 95%CI 0.36–0.76; P < 0.001)
 重大な肺炎の副作用がみられたのは0.15%(2.9 per TPY) for budesonide and
 0.13% (2.1 per TPY) for placebo (HR 1.29; 95%CI 0.53–3.12; P = 0.58)。
 セカンダリデータにおいて、肺炎の副作用は0.70% (12.7 per TPY)、重大な肺炎
 の副作用は0.17% (3.1 per TPY)であった。
 ブデソニド高用量においても、あるいはブデソニドとフルチカゾンの両方の
 場合においても肺炎リスク上昇はみられなかった。

結論:
 気管支喘息患者において、ブデソニドを使用した臨床試験における  
 肺炎あるいは重大な肺炎のリスク上昇はない。

by otowelt | 2011-03-07 14:36 | 気管支喘息・COPD

ループ利尿薬のボーラス投与と持続注入、高用量と低用量で差なし

Diuretic Strategies in Patients with Acute Decompensated Heart Failure
N Engl J Med 2011;364:797-805.


背景:
 急性非代償性心不全患者治療において、ループ利尿薬は重要な薬剤であるが、
 使用指針とすべき前向きデータはほとんどない。

方法:
 プロスペクティブ二重盲検ランダム化試験において、急性非代償性心不全患者
 308人に、フロセミドの静脈内投与を
 12 時間ごとのボーラス投与または持続注入、および
 低用量(それまでの経口投与量と同じ)または高用量(経口投与量の2.5倍)
 の組合せで行う、4群に割り付け。投与開始後から48時間後には、
 用量調節ができるようはからった。複合プライマリエンドポイントは
 VASスコアの72時間AUCで定量化した患者症状評価、およびベースラインから
 72時間までの血清Creの変化とした。

結果:
 ループ利尿薬のボーラス投与と持続注入との比較で、
 患者による症状のVAS全般的評価(平均AUCそれぞれ4236±1440、
 4373±1404、P=0.47)および、血清Cre値の平均変化
 (それぞれ 0.05±0.3 mg/dL [4.4±26.5 μmol/L]、
 0.07±0.3 mg/dL [6.2±26.5 μmol/L],P=0.45)にも有意差はなかった。
 高用量と低用量との比較では、高用量群の方が患者による症状の
 全般的評価の改善が大きくなる傾向があったが、統計学的に有意でなかった。
 (平均AUC 4430±1401 vs 4171±1436、P=0.06)
 血清Cre値の平均変化には、2群間で有意差はなかった
 (高用量群 0.08±0.3 mg/dL [7.1±26.5 μmol/L]、
 低用量群 0.04±0.3 mg/dL [3.5±26.5 μmol/L]、P=0.21)。
 高用量法は、強い利尿作用と複数の副次的指標における転帰の改善に関連して
 いたものの、腎機能の一時的な低下にも関連した。結論:
 ループ利尿薬のボーラス投与と持続注入、高用量と低用量とでは
 急性非代償性心不全患者による症状の全般的評価や
 腎機能の変化に有意差は認められなかった。

by otowelt | 2011-03-07 06:25 | 内科一般