2011年 03月 17日 ( 3 )

東日本大震災による緊急的措置:主要医学雑誌、UpToDateなど全無料開放

東日本大震災を受けて、4月8日までの間、
The Emergency Access Initiativeが
医学雑誌233誌、本75冊、Cochrane database、
DynaMed、Essential Evidence Plus、UpToDateを
全部無料開放しています。

↓主要論文についてはこのサイト参照
http://eai.nlm.nih.gov/

医中誌Webも震災を受けて無料にしていますが、
メールによる無料登録申請が必要のようです。

by otowelt | 2011-03-17 15:46 | その他

LAM患者における、シロリムスの有効性と安全性

呼吸器内科医にとっては重要な論文だろう。

Efficacy and Safety of Sirolimus in Lymphangioleiomyomatosis
NEJM, March 16, 2011 (10.1056/NEJMoa1100391)


背景:
 リンパ脈管筋腫症(LAM)は、女性にみられる進行性の嚢胞性疾患である。
 哺乳類ラパマイシン標的タンパクmTORシグナルの不適切な活性化によって
 細胞増殖・リンパ脈管異常が起こる。
 シロリムス(ラパマイシン)はmTORを阻害し、LAMに有効であると考えられている。

方法:
 われわれは、2段階のシロリムス試験を89人の中等度呼吸機能障害のある
 LAM患者で施行。12ヵ月のランダム化二重盲検プラセボ対照化試験をおこない
 引き続き12ヵ月の観察期間をおいた。
 プライマリエンドポイントはFEV1の勾配変化率とした。

結果:
 治療期間の間、FEV1勾配はプラセボ群で−12±2 ml per month(43人)
 シロリムス群で1±2 ml per month(46人)であった。(P<0.001)
 FEV絶対値の違いは、治療期間において153ml。これは登録時平均FEV1の
 およそ11%だった。
 プラセボ群比較で、シロリムス群はベースラインから12ヶ月時点において
 FVC、FRC、血中vascular endothelial growth factor D (VEGF-D)、QOL、
 機能的パフォーマンスを改善した。
 6分間歩行距離とDLCOの改善は両群において有意差はなかった。
 シロリムス中止後、肺機能減少の勾配は元に戻り、プラセボ群と平行になった。
 有害事象は、シロリムスにおいてよくみられたが、
 重度の有害事象においては有意差はみられていない。
LAM患者における、シロリムスの有効性と安全性_e0156318_13252116.jpg
結論:
 LAM患者において、シロリムスは呼吸機能の安定化をもたらし
 血清VEGF-Dを減少させる。そして、症状とQOLの改善をもたらす。
 選択されたLAM患者においてシロリムスは有用かもしれない。

by otowelt | 2011-03-17 13:31 | びまん性肺疾患

緊急IND下における2009H1N1インフルエンザに対するperamivirの有効性

緊急IND下におけるperamivir使用のcase seriesが
少し前にCIDから報告された。
サンフォード2010において、peramivirは最低5日間投与すべきであるとの
記載があるため、個人的に”5日以上”と思っているが、
このcase seriesは、中央日数が10日という長さである。

Clinical Experience in Adults and Children Treated with Intravenous Peramivir for 2009 Influenza A (H1N1) Under an Emergency IND Program in the United States
Clinical Infectious Diseases 2011;52(6):695–706


背景:
 peramivirは、入院患者における第III相試験が実施された
 治験におけるノイラミニダーゼ阻害薬であり、2009H1N1インフルエンザ
 に緊急INDとして使用された。
 ※Emergency Investigational New Drug Regulation
  IND(治験許可申請)が間に合わない緊急状況下において
  個別の患者に対して治験前の新薬の使用が許可されること。

 われわれは、臨床的特徴とアウトカムをすべてのperamivirを
 eIND下に使用した患者において記載した。

方法:
 eIND許可をFDAとlocal IRBによって得たあと
 臨床医は入院インフルエンザ患者に静脈内peramivir投与を
 おこない、その情報等を収集する。

結果:
 2009年4月から10月において、42人の患者(20人:成人、11人:小児)に
 peramivirが投与された。入院時にすべての患者は
 急速進行性のインフルエンザに罹患しており、ウイルス性肺炎による 
 呼吸不全が同定され、1人を除く全員が人工呼吸器装着となった。
 ほとんどの患者において、oseltamivir耐性インフルエンザ感染が同定され
 oseltamivir投与によってもインフルエンザの病態は進行を続けた。
 peramivirは1~14日間投与され(中央投与日数10日)、
 14日後、28日後、56日後生存率は、それぞれ76.7%、66.7%、59.0%
 であった。peramivirは概して忍容性が高かった。
緊急IND下における2009H1N1インフルエンザに対するperamivirの有効性_e0156318_2258815.jpg
結論:
 静脈内peramivir投与は忍容性があり、2009H1N1インフルエンザ肺炎患者
 において効果がみられた。

by otowelt | 2011-03-17 05:40 | 感染症全般