2011年 03月 21日 ( 2 )

非小細胞肺癌の切除後再発率に喫煙が及ぼす影響

喫煙歴と切除後再発の関係についての論文。
stageIとII、IIIで逆転してたり何だかあやふやなので、
統計学的に本当に正しいのかどうか疑問が残ってしまう。

The Prognostic Impact of Cigarette Smoking on Patients with Non-small Cell Lung Cancer
Journal of Thoracic Oncology: April 2011 - Volume 6 - Issue 4 - pp 735-742


背景:
 このスタディの目的は、喫煙と非小細胞肺癌(NSCLC)患者における臨床病理的性格
 との関連性を調べたもので、切除後の再発に関与するかどうか評価した。

方法:
 連続2295人の完全切除NSCLC患者を1992年8月から2006年12月まで
 National Cancer Center Hospital Eastにおいて登録。

結果:
 5年生存率(OS)は、stageIのNSCLCにおいて
 有意に非喫煙と既喫煙患者間で認められ(92% v 76%、 p < 0.001)、
 stage IIでは差がみられなかった(57% v 52%, p = 0.739)
 stage IIIでも同様に差がなかった(30% v 33%、 p = 0.897)。
 stageI NSCLCにおいて5年無再発率(RFPs)は、非喫煙者89%、
 既喫煙者80%であった(p < 0.001)。それに対してstageIIにおいては
 5年RFPsは非喫煙者の方が既喫煙者よりも低かった(44% v 60%, p=0.049)。
 stage IIIも同様(17% v 31%, p=0.004)。
 stage I患者において、腺癌の5年RFPは差がみられた(非:89% v 既:83%)
 ものの、非腺癌においては差がなかった(非:82% v 既:76%)。

結論:
 喫煙歴は、stage I、II、IIIのNSCLCおよびstage Iの組織型によっては
 術後再発率に差がもたらした。

by otowelt | 2011-03-21 18:21 | 肺癌・その他腫瘍

エビデンスにもとづいた特発性肺線維症の診断とマネジメント:ATS/ERS/JRS/ALATステートメント

メモ。

An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Statement: Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Evidence-based Guidelines for Diagnosis and Management
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 788–824, 2011


●「結論」および「治療」の推奨のまとめ

●結論
1. IPFは慢性進行性線維化をきたす間質性肺炎で、原因がわからないもので、
 高齢成人に起こり、肺に限局した疾患で、なおかつ
 病理学的および/または放射線学的にUIPパターンであるものを指す。
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2.IPFの診断には以下のことが必要である
 a. 他の間質性肺疾患を除外していること。たとえば、家庭内職場内における
  曝露、膠原病、薬剤など。
 b. VATSを受けていない場合、UIPパターンがHRCTにおいて認められること。
 c. VATSを受けている場合、病理学的所見とHRCT所見が特異的に合致すること。
 2000年ATS/ERSコンセンサスにおける、メジャー・マイナー診断基準は
 削除された。
3. IPF診断の確からしさは、呼吸器内科医、放射線科医、病理医が
 相補的に討議した上で実現されるものである。
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4. IPFは致死的な肺疾患である。自然経過は多岐にわたり、予測困難である。
 a.ほとんどのIPF患者が長年かけて呼吸機能の低下がみられるが、
  呼吸機能は安定していたり急速に悪くなる患者もいる。
 b. 安定していたにも関わらず、急性増悪を経験する患者もいる。
5. 疾患の進行は、呼吸器症状の悪化、呼吸機能検査結果の悪化、
 HRCTにおける線維化の悪化、急性の呼吸機能減衰、死亡によって表現される。
6. IPF患者は非顕在化あるいは明白な合併症をもつかもしれない。
 すなわち、肺高血圧症、胃食道逆流症、閉塞性睡眠時無呼吸、肥満、
 気腫などである。これらの病態がIPFのアウトカムにどう影響するかは
 わかっていない。

●治療
1.IPFの治療を行う場合以下を使用ないことを推奨として強く掲げる
 a. ステロイド単剤(very low quality of the evidence)
 b. コルヒチン(very low quality of the evidence)
 c. シクロスポリン(very low quality of the evidence)
 d.ステロイドと免疫調整薬の併用(very low quality of the evidence)
 e. インターフェロンγ1b (high quality of the evidence)
 f.ボセンタン(moderate quality of the evidence)
 g. エタネルセプト(moderate quality of the evidence)
2. IPF治療に以下のものを用いない推奨は弱い。
 言い換えるなら、これらの治療は大多数の患者に用いるべきではないが
 一部の患者には選択してもよい。
 a.アセチルシステインとアザチオプリン、プレドニゾンの併用
  (low quality of the evidence)
 b.アセチルシステイン単剤(low quality of the evidence)
 c. 抗凝固剤(very low quality of the evidence)
 d. ピルフェニドン(moderate quality of the evidence)
3. 長期酸素療法はIPF患者、臨床的に安静時低酸素がみられる患者には強く推奨する。
 (very low quality of the evidence)
4. 肺移植はIPFの適切な症例には強く推奨する(very low quality of the evidence)
5. IPF患者において、人工呼吸器使用しない推奨は弱い。
 (low quality of the evidence)
6. 呼吸リハビリテーションをIPF患者におこなうことは推奨としては弱い。
 (low quality of the evidence)
7. 急性増悪をきたしたIPF患者にステロイドを使用することは、推奨としては弱い。
 (very low quality of the evidence)
8.肺高血圧症の治療をIPF患者におこなうことは、推奨としては弱い。
 (very low quality of the evidence)
9.症状のない胃食道逆流の治療をIPF患者におこなうことは、推奨としては弱い。
 (very low quality of the evidence)

by otowelt | 2011-03-21 13:34 | びまん性肺疾患