2011年 03月 29日 ( 3 )

挿管された外傷患者へのストレス量のヒドロコルチゾンはその後の肺炎を減少させる

Hydrocortisone Therapy for Patients With Multiple Trauma
The Randomized Controlled HYPOLYTE Study
JAMA. 2011;305(12):1201-1209


背景:
 ストレス量のヒドロコルチゾンを外傷患者に用いることの役割はまだわかっていない。

目的:
 ヒドロコルチゾンを外傷患者に用いることの効果を検証する。

方法:
 多施設共同ランダム化プラセボ対照比較試験である
 (HYPOLYTE (Hydrocortisone Polytraumatise)試験)
 フランスの7ICUにおいて、2006年11月から2009年8月までの
 150人の重症外傷患者を登録した。彼らはランダムにヒドロコルチゾン投与群
 (200 mg/d 5日間、その後6日目100mg/d、7日目50mg/d)
 とプラセボ群に割りつけられた。不適切な副腎応答があった患者は治療中断とした。
 主要転帰は28日以内の院内肺炎とし、副次転帰は人工呼吸器装着期間、
 低ナトリウム血症、死亡とした。

結果:
 ITT解析では149人が組み込まれた。
 modified ITT解析では、113人がコルチコステロイド欠乏であった。
 ITT解析でヒドロコルチゾン治療を受けた73人のうち26人 (35.6%) が、
 プラセボ群の76人のうち39人(51.3%)が、28日以内に肺炎に陥った
 (HR 0.51; 95% CI0.30-0.83; P=.007)。
 modified ITT解析では、前者の56人のうち20人(35.7%)が、
 後者の57人のうち31人が28日以内に肺炎に陥った
 (HR, 0.47; 95% CI, 0.25-0.86; P=.01)。
 人工呼吸器非装着日数は、ヒドロコルチゾン群において
 ITT解析では4日増加(95% CI, 2-7;P=.001)、modified ITT解析では
 6日増加(95% CI, 2-11; P<.001)。
 低ナトリウム血症はプラセボ群の7人(9.2%)にみられたが
 ヒドロコルチゾン群では観察されなかった。
 (absolute difference, −9%; 95% CI, −16% to −3%; P=.01).
 プラセボ群の76人中4人(5.3%)、ヒドロコルチゾン群の73人中6人(8.2%)
 が死亡した(absolute difference, 3%; 95% CI, −5% to 11%; P=.44)。
挿管された外傷患者へのストレス量のヒドロコルチゾンはその後の肺炎を減少させる_e0156318_139507.jpg
結論:
 挿管された外傷患者において、ストレス量のヒドロコルチゾンを
 投与することによって、院内肺炎を減少させることができる。

by otowelt | 2011-03-29 13:10 | 救急

genotypeによっては結核患者における喀痰培養陰性化の促進にビタミンDは有用

結核患者さんの治療では、
塗沫が陰性してすぐに退院できる人と、培養陰性化をじっくり待って退院する人と
大きく2つのコースがある。後者は平均的に2ヶ月くらいかかってしまうので
治療者としてもできるだけ早く家に帰してあげたいところである。
ただ、禁煙できない、コンプライアンス不良、培養陰性化が遅い、という
3種の神器が揃うと非常にやっかいだ。

High-dose vitamin D3 during intensive-phase antimicrobial treatment of pulmonary tuberculosis: a double-blind randomised controlled trial
The Lancet, Volume 377, Issue 9761, Pages 242 - 250, 15 January 2011


背景
 ビタミンDは、抗菌薬が発達する前に結核治療として使用されていた。
 この代謝物はin vitroにおいて抗菌作用があるとされている。
 喀痰培養の陰性化に対してこのビタミンDの効果を検証した臨床試験はない。

方法:
 われわれはビタミンDの多施設共同ランダム化比較試験を
 成人の喀痰塗沫陽性結核患者においてロンドン、イギリスで施行した。
 146人が登録され、2.5mgのビタミンD3あるいはプラセボを
 結核治療開始から14日、28日、42日に投与した。
 プライマリエンドポイントは、治療開始してから喀痰培養陰性化までの時間とした。
 患者は、ビタミンD受容体のTaqIとFokIポリモルフィズムによる
 ジェノタイプ分けがなされた。

結果:
 126人がデータ解析に妥当な患者であった。
 喀痰培養陰性化までの期間は、ビタミンD群において36.0日、プラセボ群に
 おいて43.5日であった。(調整HR 1.39, 95% CI 0.90—2.16; p=0.14)
 またTaqI genotypeはビタミンD投与により喀痰培養陰性化までの期間の
 変化をもたらすことがわかった (P(interaction)=0.03)。
 また、tt genotypeの患者にのみ、促進的な反応が観察された
 (調整HR8.09, 95% CI 1.36—48.01; p=0.02)
 FokI genotypeはビタミンDによる効果に影響はなかった(P(interaction)=0.85)
 56日目の平均血中ビタミンD濃度は、介入群101.4 nmol/L、プラセボ群
 22.8 nmol/Lであった(95% CI for difference 68.6—88.2; p<0.0001)

結論:
 4回にわたるビタミンD3(2.5mg)の投与によって
 抗結核治療を受けている患者の同血中濃度が上昇する。
 ビタミンDは有意に喀痰培養陰性化までの時間には影響しなかったものの
 TaqIのうちのtt genotypeの患者においては有意にその期間を短縮した。

by otowelt | 2011-03-29 06:12 | 抗酸菌感染症

医学部・大学院において、民族別に差がある

Cohen’s dがいまだによくわからず、アレルギーになっている。
というわけでHazard ratioも実はよくわかっていなかったりする。
forest plotにされると視覚的に「ああそうなんだ」と思うが、
いざ各論を問われると”説明”できない。
ちょっと統計をかじっただけの医者は、そんなもんでいいのだろうか。

Ethnicity and academic performance in UK trained doctors and medical students: systematic review and meta-analysis.
BMJ. 2011 Mar 8;342:d901. doi: 10.1136/bmj.d901


概要:
 イギリスで研修を受けた医師・医学生の学業成績と民族の関連について調べた。

デザイン:
 システマティックレビュー/メタアナリシス

方法:
 PubMed, Scopus, ERIC, Google/Google Scholarなどの
 オンラインデータベース/検索エンジン、医学教育関連の専門誌
 学会抄録を調査してデータを抽出。
 医学生およびイギリスで研修を受けた医師において
 医学部や大学院における学業成績を民族別に定量的に評価した報告を
 対象とした。イギリスをのぞく国における評価、またそういった国でのみ
 研修を受けた場合、自己申告のみによる評価、サンプリングバイアスが
 明らかな場合、民族やアウトカムの記述が不十分な場合、除外となった。

結果:
 22の報告(23742人)のメタアナリシスでは、非白人は
 白人に比べ学業成績が劣ることがわかった
 (Cohen’s d=-0.42、95%CI-0.50~-0.34、p<0.001)。
 医学生、大学院生、臨床能力、合格ないしは不合格のアウトカムなどの
 個々の評価や、白人とアジア人を比べたメタアナリシスにおいても、
 同様の傾向が同程度にみられた。全メタアナリシスに不均一性があった。
医学部・大学院において、民族別に差がある_e0156318_9164520.jpg
結論:
 おのおのの医学部や試験のタイプ、また学部内や大学院において
 学業成績の民族間差が相当みられるものと考えられる。

by otowelt | 2011-03-29 05:38 | その他