2011年 04月 05日 ( 3 )

COPと二次性OPには臨床的・放射線的違いは少ない

このスタディにおける二次性OPは、
薬剤性(アミオダロン、βブロッカー、コカイン濫用)、全身性炎症性疾患
(関節リウマチ、結節性動脈炎、リウマチ性多発筋痛症)、
固形腫瘍(大腸、乳房)、血液疾患(非Hodgkinリンパ腫)、
腎移植後、感染症で構成されている。
Abstractには記載されていないが、56%が喫煙者であったことも興味深い。

Cryptogenic and Secondary Organizing Pneumonia: Clinical Presentation, Radiographic Findings, Treatment Response, and Prognosis
CHEST 2011; 139(4):893–900


背景:
 器質化肺炎(OP)は、臨床的にも病理学的にも明確に規定されている。
 この病態は、原因不明であるCOPと二次性のOPとがある。
 このスタディにおいて、われわれはCOPと二次性OPの特徴を
 2つの教育病院において解析した。

方法:
 生検によって診断された61人のOPの患者をレトロスペクティブに検証。
 40人の患者がCOPと診断され、21人が二次性OPと診断された。
 臨床所見、放射線学的所見、呼吸機能検査、血液検査データ、BAL所見、
 治療、臨床アウトカムが解析された。

結果:
 平均年齢は60.46 ± 13.57 歳であった。
 不快感、咳嗽、発熱、呼吸困難、両側肺浸潤影、拘束性障害が
 最もよくみられた症状と所見であった。
 BALリンパ球比率はOPにおいて平均43.8%であった。
 再発率と1年後死亡率はそれぞれ37.8%、9.4%であった。
 院内死亡率は5.7%であった。臨床所見と放射線所見は
 COPと二次性OPの間に大きな違いはみられなかった。
 呼吸機能検査における混合性障害と低ナトリウム血症、
 血小板減少、低アルブミン、低タンパク、低pHが二次性OPで
 よくみられる所見であった。高クレアチニン血症、高ビリルビン血症、
 高PaCO2、BALリンパ球増多も二次性OPでよくみられた。
 再発率、死亡率に両者の差はみられなかった。1年後の死亡率は赤沈、
 低アルブミン、低ヘモグロビンに関連していた。
COPと二次性OPには臨床的・放射線的違いは少ない_e0156318_21491643.jpg
COPと二次性OPには臨床的・放射線的違いは少ない_e0156318_21493448.jpg
結論:
 COPおよび二次性OPの患者における臨床所見、放射線所見は
 同等であり非特異的である。血液検査異常は二次性OPにおいて
 よくみられる傾向にあり予後不良因子と関連しているが、
 しかしながらこれは基礎疾患によるものが大きい。
 治療反応性は同等であり、再発率、死亡率も同等であった。

by otowelt | 2011-04-05 21:00 | びまん性肺疾患

COPD診断基準に合致する症例において5人に1人は非喫煙者である

COPDにおいて非喫煙者が実は多いのだということは
よく言われていることだが、非喫煙者COPDの上位にアンチトリプシン欠損症を
すぐ想起してしまうのは、シマウマ探しが得意な日本人の悪いクセかもしれない。
・Mild and moderate-to-severe COPD in nonsmokers: distinct demographic profi les. Chest . 2005 ; 128 ( 3 ): 1239 - 1244 .
・Prevalence of airfl ow obstruction in smokers and never smokers in Switzerland. Eur Respir J . 2010 ; 36 ( 6 ): 1259 - 1269.


BOLD試験のデータを用いた、疫学的研究がCHESTから出ていた。

COPD in Never Smokers: Results From the Population-Based Burden of Obstructive Lung Disease Study
CHEST 2011; 139(4):752–763


背景:
 COPD患者においてかなりの頻度で非喫煙者がいることがわかっている。
 彼らの特徴と危険因子はいまだはっきりしていない。 

方法:
 われわれは14の国でおこなわれたBOLD試験を解析した。
 (Burden of Obstructive Lung Disease study)
 40歳以上の成人で、気管支拡張薬後スパイロメトリーと呼吸器症状・
 健康状態・COPDリスクとなる曝露歴の質問表を完了したものを登録。
 COPD診断は、気管支拡張薬後のFEV1/FVCに基づき
 現行のGOLDガイドラインに鑑みた。

結果:
 4291人の非喫煙者のうち、6.6%がmildのCOPDに合致した
 (GOLD stage I) 。また、5.6%がmoderate to very severe
 (GOLD stage II + )に合致した。非喫煙者は喫煙者にくらべると
 COPD発症リスクが少なく、より軽症であったものの
 それにもかかわらずGOLD2+の症例のうち23.3%が非喫煙者であった
 非喫煙者におけるCOPDの予測因子として年齢、教育、職業曝露、
 小児期の呼吸器疾患、BMIなどが挙げられる。

結論:
 この多施設共同国際試験において、COPD症例における非喫煙者の頻度は
 相当のものであると考えられる。年齢、喘息の既往、女性、
 教育レベルの低さなどは非喫煙者におけるCOPDのリスクを増加させる。

by otowelt | 2011-04-05 20:08 | 気管支喘息・COPD

ディーゼル自動車の排気ガスは肺癌リスクを上昇させる

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ディーゼルエンジンは、まだヨーロッパでは乗用車の
40%くらいのシェアがある。1890年代にディーゼル
(左写真人物)が発明したものである。

今週のAJRCCMから、ディーゼルエンジン
の排気ガスが肺癌のリスクを上昇させると
いう論文が出ていた。

Exposure to Diesel Motor Exhaust and Lung Cancer Risk in a Pooled Analysis from Case-Control Studies in Europe and Canada.
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 941–948, 2011


背景:
 ディーゼル自動車の排気ガスは、ヒトに対する発癌性があるとして
 the International Agency for Research on Cancerにより分類されている。
 ただ、疫学的なエビデンスは限定されており、曝露とのその反応の関係について
 潜在的交絡因子をコントロールして適切に評価した論文は少ない。

目的:
 職業的にディーゼル自動車の排気ガスに曝露されているヒトの
 肺癌リスクへの関連を、潜在的交絡因子をコントロールした上で調べる。

方法:
 SYNERGY計画は、生涯を通して煙に曝露されて仕事をしている
 13304症例と、11の症例対照研究から16282症例の対照群を設定。
 職業的な曝露に関してはISCO-68分類に基づいており、
 ディーゼルモーターの排気ガスへの曝露がない、低い、高いといった
 レベル分けにより評価をおこなった。

結果:
 ディーゼルに曝露された場合の肺癌リスク上昇は、
 最高レベル曝露の四分位と、非曝露との比較において
 オッズ比1.31(95%CI 1.19–1.43)であり、有意に曝露反応関連が
 みられた(P< 0.01)。
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結論:
 職業的にディーゼル自動車の排気ガスに曝露する場合、肺癌リスクを上昇させる。
 この関連性は、バイアスなどでは説明できないものである。

by otowelt | 2011-04-05 07:24 | 肺癌・その他腫瘍