2011年 04月 15日 ( 2 )

肺結核の初期8週間治療に4剤合剤を用いることは分離処方に非劣性

先進国の結核ではそこまで大事なスタディではないかもしれないが
発展途上国にとっては重要なスタディであろう。

Abstractには記載されていないが、
結核性髄膜炎、肺外結核、インスリン依存性糖尿病、慢性肝疾患、慢性腎臓疾患、
血液異常、末梢神経障害、妊婦・授乳婦、精神疾患あるいはアルコール依存症、
その他禁忌と考えられる症例は除外されている。

Efficacy and Safety of a 4-Drug Fixed-Dose Combination Regimen Compared With Separate Drugs for Treatment of Pulmonary Tuberculosis. The Study C Randomized Controlled Trial
JAMA. 2011;305(14):1415-1423. doi: 10.1001/jama.2011.436


背景:
 結核治療における固定用量併用療法;Fixed-dose combinations (FDCs)は、
 薬剤耐性のリスクの観点から避けられてきた。

目的:
 4剤FDCを結核治療に用いることの効果と安全性を評価すること。

患者:
 オープンラベル試験で非劣勢を証明するためのランダム化対照試験で
 アフリカ、アジア、南米において2003~2008年に11の場所で
 おこなわれた。患者は1585人の成人で、塗沫陽性の新規肺結核患者。

介入:
 患者は4剤(リファンピシン、イソニアジド、ピラジナミド、エサンブトール)
 8週間の強化治療期間において、治療を毎日FDCとして受ける群(798人)と、
 非FDCで別々に処方した場合の治療(787人)をランダムに割り付け。
肺結核の初期8週間治療に4剤合剤を用いることは分離処方に非劣性_e0156318_1233447.jpg
アウトカム:
 治療アウトカムは、ランダム化後18ヶ月めの培養陰性化とした。
 非劣性はper-protocol解析、改訂ITT解析の結果に基づいて解釈された。
 モデルを2つ使用。(詳細割愛)

結果:
 per-protocol解析において、FDC群の591人のうち555人の患者(93.9%)が、
 分離処方群で579人中548人が望ましい結果となった
 (risk difference, −0.7% [90%CI −3.0% to 1.5%])
 モデル1、2の解析においても差はみられなかった。
 有害事象に関しても同等であった。
肺結核の初期8週間治療に4剤合剤を用いることは分離処方に非劣性_e0156318_1231484.jpg
結論:
 薬剤をそれぞれ別個に内服する場合と比べ、4剤のFDCを服用する場合
 非劣性が証明された。必ずしも全ての場合においてFDCが非劣性とは
 限らないが、FDCを用いることの潜在的な有用性がみられると考える。

by otowelt | 2011-04-15 12:08 | 抗酸菌感染症

成人ICUにおける感染伝播予防介入と医療スタッフの予防策への課題

ICUにおける接触感染に関するスタディ。

Intervention to Reduce Transmission of Resistant Bacteria in Intensive Care
N Engl J Med 2011; 364:1407-1418


背景:
 ICUは、MRSAとVREの伝播のリスクが高い院内環境である。

方法:
 クラスターランダム化試験において、MRSAおよびVREの
 保菌監視と無菌遮断予防介入の拡大的実施によって、ICUにおける
 MRSAまたはVREの保菌/感染率に影響を与えるかどうかを、
 従来の方法と比較。このスタディに参加した全ICU患者に監視培養をし、
 結果は介入群ICUにのみ伝達するようにした。介入ICUでは、
 MRSAまたはVREの保菌/感染患者を接触感染予防策ケアに割り付け、
 それ以外のICUは全例、退室までまたは入院時の監視培養が陰性とわかる
 まで、手袋の着用徹底によるケアを義務付けた。

結果:
 6ヵ月介入期間中、10ヵ所の介入ICUに5434人の成人が入室。
 8ヵ所のコントロール群ICUに3705人の成人が入室。
 介入ICUでは、コントロールICUと比べ、MRSAまたはVRE保菌/感染
 患者が無菌遮断予防策に割り付けられる頻度が多かった。
 ※介入ICUではICU滞在日数のうち、92%が接触感染予防策
  または手袋着用徹底に割り当てられ、コントロールICUICUでは
  ICU滞在日数のうち38%が接触感染予防策に割り当てられた。
  (いずれも中央値の%:P<0.001)
 介入ICUにおいて、医療スタッフが無菌遮断予防策に割り付けられた
 患者と接触するときに、清潔手袋、ガウン、手指衛生をおこなった頻度が
 要求された頻度よりも少なかった。
 ICUの1000患者・日あたりのMRSAまたはVREの保菌/感染の平均
 (±SE)発生率は、補正後に介入ICUとコントロールICUで
 有意差はなかった(40.4±3.3、35.6±3.7、P=0.35)。

結論
 成人ICUにおける介入はMRSAやVRE伝播減少に有効ではなかったが
 医療スタッフによる無菌遮断予防策実施は要求された頻度より少ない。

by otowelt | 2011-04-15 06:24 | 集中治療