2011年 04月 26日 ( 2 )

移植レシピエントにおけるBAL中Aspergillus PCRアッセイとGMテストの感度・特異度

菌名を斜字にするのがめんどくさかったのであしからず。
A. terreus特異リアルタイムPCRのくだりは、何となく”ついで”
という感が否めない論文ではあるが。

Comparison of an Aspergillus Real-time Polymerase Chain Reaction Assay with Galactomannan Testing of Bronchoalvelolar Lavage Fluid for the Diagnosis of Invasive Pulmonary Aspergillosis in Lung Transplant Recipients
Clinical Infectious Diseases 2011;52(10):1218–1226


背景:
 侵襲性肺アスペルギルス症(IPA)の早期診断と治療はアウトカムを改善する。

方法:
 現在利用できる検査として、pan-Aspergillus、Aspergillus fumigatusないし
 Aspergillus terreusに特異的なリアルタイムPCRアッセイと
 the Platelia galactomannan (GM)アッセイを肺移植レシピエント
 からの150のBAL検体で比較した。
 16人がproven/probable IPA、26人がAspergillusコロナイゼーション、
 11人が非Aspergillus真菌コロナイゼーション、97人ネガティブコントロール。

結果:
 IPAに対するpan-Aspergillus PCRの感度および特異度は
 100% (95% CI, 79%–100%) と88% (79%–92%)であった。
 GM (≧.5)の感度および特異度は93% (68%–100%) 、89% (82%–93%)
 であった。A. fumigatus–特異PCRの感度・特異度は、85% (55%–89%) 、
 96% (91%–98%)で、A. terreus–特異PCRはIPA症例のうち1例のみ陽性で
 特異度は必然的に99% (148 of 149)となった。GMで診断しえなかった
 IPAでPCR陽性例は1人であった。コロナイゼーションのBAL検体において
 GMの特異度は92%で、pan-Aspergillus PCRの50%より高かった
 (P=.003)。ネガティブコントロールのうちpan-Aspergillus PCR の特異度は
 97%で、これはGMより高かった(88%; P=.03)。BAL-PCRとGMが陽性の場合
 特異度97%、最小損失(?)感度93%。
移植レシピエントにおけるBAL中Aspergillus PCRアッセイとGMテストの感度・特異度_e0156318_1310044.jpg
結論:
 BAL検体におけるpan-Aspergillus PCRアッセイとGMテストは
 移植レシピエントにおけるIPA診断に有用である。A. fumigatusないし
 A. terreus特異リアルタイムPCRアッセイもIPAの原因として
 早期診断やアムホテリシンB耐性という観点からは有用である。

by otowelt | 2011-04-26 13:07 | 感染症全般

前立腺癌スクリーニングは前立腺癌死に影響を与えない

内科医全般にとって重要な臨床試験だと思われる。

Randomisedprostate cancer screening trial:20year follow-up
BMJ 2011;342:d1539


目的:前立腺癌スクリーニングが、前立腺による癌死を減らすかどうかを調べる。

デザイン:Population based randomised controlled trial

セッティング:Department of Urology, Norrköping,
     the South-East Region Prostate Cancer Register.

方法:
 スウェーデンのノルヒェーピングの住民登録を利用し、1987年に同町に
 居住していた50~69歳の男性全員(9026人)を同定。その6分の1にあたる
 1494人をランダムに選出し、3年ごとのスクリーニング検査に割り付け、
 1987年から1996年まで実施した。最初の2回は直腸診のみとし、1993年と
 1996年には血液検査においてPSA値の測定を施行(cut off 4μg/L)。
 癌と疑われた症例において、前立腺針吸引生検を施行した。
 コントロール群は、スクリーニング群に割り付けられなかった男性全員。
 プライマリアウトカムは2008年12月31日までの前立腺癌死亡のrisk ratioとした。

結果:
 1987年から1996年までの合計4回のスクリーニングの受診率は、
 78%(1492人中1161人)、70%(1363人中957人)、
 74%(1210人中895人)、74%(606人中446人)であった。
 スクリーニング群の前立腺癌罹患は85人(5.7%)、コントロール群は
 292人(3.9%)であった。また、スクリーニング群の患者で
 スクリーニングにより前立腺癌の診断がなされたのは43人(2.9%)で、
 検診と検診の間に前立腺癌が発見された患者が別に42人(2.6%)いた。
 限局性の腫瘍であった割合はスクリーニング群で56.5%と高く、
 コントロール群は26.7%であった(P<0.001)。
 全例が前立腺癌標準治療を受けた。
 前立腺癌死は、スクリーニング群で前立腺癌と診断された患者85人のうち
 30人(35%)、コントロール群は292人中130人(45%)であった。
 前立腺癌と診断された患者の全死因死亡はそれぞれ81%と86%。
 スクリーニング群の前立腺癌死亡のrisk ratioは1.16(95%CI0.78-1.73)、
 両群間に有意差はなかった。前立腺癌死亡までの時間と全死因死亡までの
 時間をスクリーニング群とコントロール群の間で比べたものの、
 P値は、それぞれP=0.065とP=0.14で有意差なし。
 Cox比例ハザード分析を用いると、スクリーニング群に対する
 コントロール群の前立腺癌死亡のHR1.23(0.94-1.62、P=0.13)。
 また、試験開始時の年齢で調整した場合、HR1.58(1.06-2.36、P=0.024)。
前立腺癌スクリーニングは前立腺癌死に影響を与えない_e0156318_12245793.jpg
 結論:
 20年間にわたる追跡研究によれば、前立腺癌スクリーニングを受けた
 場合と受けない場合の前立腺癌死亡のリスク比に有意差はなかった。

by otowelt | 2011-04-26 06:12 | 肺癌・その他腫瘍