2011年 07月 14日 ( 2 )

AIDS合併ニューモシスティス肺炎の治療効果判定に血清β-D-グルカンの追跡は妥当ではない

Internal Medicineからβ-D-グルカンについての論文。
β-D-グルカンは、だいたい30以下と30以上で陽性・陰性と
クリアカットに考えている医師は少なくないように思うが、
感度的/特異度的な意味合いの履き違えに
気をつけたい検査の1つである。

ニューモシスティス肺炎(PCP)に対してST合剤を投与したとき
一時的にβ-D-グルカンが上昇するのはしばしば経験するため、
経過を追う意味で測定すべきでないと個人的に思っている。

Discussionのところでも引用されているCIDの論文でも
同様の記載が書かれている。
Serum (1-->3) beta-Dglucan as a noninvasive adjunct marker for the diagnosis of Pneumocystis pneumonia in patients with AIDS.
Clin Infect Dis 49:1128-1131, 2009.



以下、今回の論文。東京大学から。

Kinetics of Serum β-D-Glucan after Pneumocystis Pneumonia Treatment in Patients with AIDS
Intern Med 50: 1397-1401, 2011


目的:
 血清β-D-グルカンはPCP診断において信頼性のある検査とされているが、
 PCP治療後によってどのように変化するかはよくわかっていない。
 血清β-D-グルカンと臨床的反応性の相関を評価するため、
 PCP治療後の血清β-D-グルカンの推移を追った。

方法:
 17人のAIDS合併PCP患者において解析をおこなった。

結果:
 すべての患者が、血清β-D-グルカンがカットオフレベル以上であり
 診断時の中央値は224 pg/mL [IQR: 78-597]であった。
 β-D-グルカンについて、CRP、LDH、AaDO2との相関はなかった。
 治療を開始すると、ほとんどの患者で臨床的な改善がみられるとともに
 この数値は減少傾向を示したが、有意数の患者において
 治療にもかかわらずβ-D-グルカンの上昇を認めた。

結論:
 血清β-D-グルカンレベルは、PCP感染の重症度や予後と相関しない。 
 治療反応性のモニタリングとして利用するのは妥当ではないだろう。

by otowelt | 2011-07-14 12:23 | 感染症全般

気管支喘息における患者自己申告の信頼性について

NEJMからの論文。

Active Albuterol or Placebo, Sham Acupuncture, or No Intervention in Asthma
N Engl J Med 2011;365:119-26.


背景および方法:
 喘息患者におけるプロスペクティブスタディにおいて
 生理学的変化の経過をプラセボ効果と区別するのは難しい。
 われわれは、気管支拡張薬の効果をみるため
 二重盲検クロスオーバーパイロット試験において、
 46人を以下の如くランダムに割り付けた。
 アルブテロール吸入、プラセボ吸入、プラセボ、偽鍼、非介入群。
 4介入群を3から7日ごとにブロックデザイン割り付け、
 それぞれの患者に12回受診ブロック数で、少なくとも
 2ブロック以上施行するような割り付け方法とした。
 受診時に、呼吸機能検査を2時間ごとに繰り返し、
 maximum FEV1を測定し、患者の症状申告とともに記録した。

結果:
 スタディを完遂した39人の患者において、アルブテロールでは
 FEV1は20%上昇し、3つの他の介入群においては約7%だった(P<0.001)。
 しかしながら、患者報告での改善は
 アルブテロール吸入後(50%)、プラセボ吸入後(45%)も、
 シャム偽鍼後(46%)も変わらなかった。
 ただ、どの介入においても患者の主観的な症状改善は
 非介入群(21%)より有意によかった(P<0.001)。
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結論:
 プラセボ効果は臨床的に有意に存在するため
 研究デザインを行う場合に、患者申告などは特に
 信頼性に乏しい可能性がある。
 

by otowelt | 2011-07-14 06:16 | 気管支喘息・COPD