2012年 01月 30日 ( 2 )

IPFにおいて食道裂孔ヘルニアの合併は多い

食道裂孔ヘルニアとIPFの話題。
ヘルニアそのものが呼吸機能を悪化させるわけではないが、
他の閉塞性肺疾患に比べるとIPFでの合併頻度が高いという報告。

Imre Noth, et al.
Prevalence of hiatal hernia by blinded MDCT in patients with IPF
ERJ Feb 1 2012; 39 (2)


背景:
 食道裂孔ヘルニアHiatal hernia (HH)は、胃食道逆流(GER)、GERDを
 合併し、IPFに寄与するかもしれない。われわれは
 CTで評価されたHHが喘息やCOPDよりもIPFによくみられるという
 仮説をたてた。また、GERに関してはpHプローブテストの異常値と関連させた。
 
方法:
 観察研究、非ランダム化試験。
 HHの頻度は3コホートにより比較された。
 IPF (N=100), COPD (N=60)、喘息(N=24)。

結果:
 HHはCOPD (13.3%, p<0.0001) や喘息(16.67%,p<0.02)よりも
 IPFにおいて多くみられた(39%)。
 HHの観察者間診断一致はIPF (k 0.78)、喘息(k 0.70)、
 中等度COPD(k 0.42)であった。IPFにおいて、HHは
 GER治療を受けている患者を除いて呼吸機能との相関性はなかった。
 上記GER治療を受けている患者はDLCOも(p<0.04)CPIも(p<0.04)
 良好であった。HHはDeMeesterスコアからGERと相関があった(p<0.04)。

結論: 
 IPFにおいてHHは、COPDや喘息よりも高頻度にみられる。
 IPFコホートにおいてHHは高いDeMeesterスコアと関連していた。 
 HH単独の存在は呼吸機能の減少との関連性はなかった。 

by otowelt | 2012-01-30 18:56 | びまん性肺疾患

アトバコン製造承認

日経メディカルオンラインより有益な情報。
アトバコン(メプロン)に奔走する必要がなくなるのは嬉しい。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/201201/523374.html

 2012年1月18日、ニューモシスチス肺炎治療薬のアトバコン(商品名サムチレール内用懸濁液15%)が製造承認を取得した。適応菌種は「ニューモシスチス・イロベチー」で、「ニューモシスチス肺炎とその発症抑制」が適応となる。治療目的では、食後に1回5mL(アトバコン750mg)を1日2回21日間、発症抑制の目的では1回10mL(アトバコン1500mg)を1日1回、どちらも食後に投与する。
 (中略)PCPの治療は、欧米においてはスルファメトキサゾール/トリメトプリム(ST合剤)が第一選択薬であり、第二選択薬としては、ペンタミジン(商品名ベナンバックス)が標準治療法として位置づけられている。しかし、HIV感染者にこれらを使用すると、半数以上に副作用が発症し投与継続困難になることが問題となっていた。
 今回、承認されたアトバコンは、ニューモシスチス・イロベチーのミトコンドリア電子伝達系を選択的に阻害することで、抗ニューモシスチス活性を示すユビキノン類似体である。すでに海外で発売されているこの薬剤は、これまでエイズ治療研究目的で個人輸入されてきたが、日本エイズ学会より「医療上の必要性が高い未承認の医薬品」として開発要請が出されていた。
 アトバコンの承認に当たっては、PCPの重篤性が考慮され、PCPを対象とした海外臨床研究で有用性が確認されていること、個人輸入などにより日本人に対する十分な使用実績があることなどを根拠に申請が行われており、日本人を対象とした臨床試験は実施されていない。厚生労働省は、PCP治療及び発症抑制において、アトバコンに既存の薬剤と同程度の有効性が認められること、既存薬に比べて高い忍容性が確認されたことを評価し、今回の承認に至っている。アトバコンは、2011年12月現在、世界20カ国以上で、PCPに対する標準的な治療及び発症抑制薬として承認されている。
 使用に際しては、対象が「副作用により第一選択薬(ST合剤)の使用が困難な場合」と限定されていることを十分把握しておかなければならない。また、海外での臨床試験において、アトバコンとの因果関係は不明なものを含めると、何らかの有害事象が68%に認められているので注意が必要である。主な有害事象は、悪心(24%)、発疹(22%)、下痢(21%)、頭痛(17%)、嘔吐・発熱(各14%)であり、重大な副作用としては、皮膚粘膜眼症候群、多形紅班、重度の肝機能障害などが認められている。

by otowelt | 2012-01-30 11:51 | 感染症全般