2012年 02月 03日 ( 2 )

沈降線数によるアスペルギルス沈降抗体の有用性の検討

基本的に英文雑誌しか要約しないようにしているが、
呼吸器学会雑誌から面白い論文が出ていたので紹介させていただく。
Web上に公開されているAbstractに相当する要旨を掲載する。
試験期間が短かったため、やや症例が少ないものの
個人的に非常に勉強になった。

安藤陽一郎ら.
血清アスペルギルス沈降抗体検査症例の臨床的検討
日呼吸誌 1(1); 3-8, 2012.


要旨:2009年2~12月に国立病院機構福岡東医療センターでAspergillus immunodiffusion system(Microgen Bioproducts Ltd., UK)のキットを用いて血清アスペルギルス沈降抗体検査を施行した症例について,沈降線を認めた症例(「あり」例)における沈降線数や診断名,また偽陽性や偽陰性の頻度などについて検討した.「あり」例24 例中,沈降線数が2 本以上を示した21 例のうち16 例は慢性肺アスペルギルス症(chronicpulmonary aspergillosis:CPA)であったが,偽陽性が疑われる症例を4 例認めた.沈降線を認めなかった症例99 例中85 例が非アスペルギルス症症例であったが,初回検査時に偽陰性を示したCPA 症例も4 例みられた.非アスペルギルス症を対照としたCPA における本検査について,陽性判定基準を沈降線数2 本以上とすれば感度78.9%,特異度95.6%など最良の結果を示した.

by otowelt | 2012-02-03 23:40 | 感染症全般

オセルタミビルの効果についてのCochraneレビュー

Tom Jefferson, et al.
Neuraminidase inhibitors for preventing and treating influenza in healthy adults and children


概要:
 過去に行われたレビューは、未発表論文を含んでおらず、
 その結果は出版バイアスのリスクが高いのではないかと考えられる。
 そこで論文ではなく、治験総括報告書(Clinical Study Report;CSR)
 から主要情報を抽出することにした。1000ページを超過することも
 みられるCSRには、未発表臨床試験情報も含まれている。
 全年齢のインフルエンザ確定例 or 疑い例、インフルエンザウイルスに
 曝露した人々を対象とし、ノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル or ザナミビル)
 またはプラセボに割り付けて、臨床アウトカムを調べたランダム化試験に
 関する情報をCSRから抽出した。
 25研究(15:オセルタミビル、10:ザナミビル)は、主として成人を対象に、
 行われた。ランダム化、盲検化は適切に行われていた。全研究が
 ノイラミニダーゼ阻害薬を開発した会社から資金提供を受けていた。
 オセルタミビルについてのレビューでは、プラセボに比べ
 症状軽減を約21時間早める効果があった。プラセボ群の患者が
 インフルエンザ症状軽減を初めて感じたのは、初回服用から
 160時間後(range 125~192hrs)。
 オセルタミビル群はそれよりおよそ21時間早かった。
 平均差は-21.3時間(95%CI:-29.5hrs to -12.9hrs, P<0.001)。
 オセルタミビルが入院リスクや合併症リスクを軽減することはなかった。
 オセルタミビルとプラセボにおける入院率の中央値にも差みられず。
 ザナミビルについては、有効性に関する個別患者データがはっきり
 しなかったため、今回はシステマティックな分析を施行できなかった。

by otowelt | 2012-02-03 05:07 | 感染症全般